ベテラン俳優として、数多くの作品で精悍な演技を見せる勝野洋さん。今回のインタビューでは、3~4月上演予定の舞台『未来記の番人』の見どころと、ご自身の健康についてお話を伺いました。
撮影/梁瀬玉実
勝野洋さんプロフィール
1949年、熊本県出身。大学在学中にモデル活動から俳優の道を志し、人気TVドラマ『太陽にほえろ!』にテキサス刑事役で出演。一躍注目を浴び、テキサスが殉職した第216回は同ドラマ史上最高視聴率42.5パーセントを記録した。以後、映画やTV、舞台と幅広く活躍している。
物語の舞台は寛永19年、江戸幕府の三代将軍・家光の時代です。聖徳太子が残した予言の書『未来記』を巡って、“異能”という特殊能力を持つ主人公・千里丸が冒険を繰り広げます。
僕が演じるのは、『未来記』を守る僧侶の道啓。お坊さんの役は初めてだけど、実は若い頃ちょっと憧れていたこともあって、仏門に入ろうと思っていた時期もあったんです(笑)。衣裳も凝っているし、丸坊主で演じる機会も滅多にないから、楽しみですね。
異能者というのは、その名のとおり「普通じゃない能力を持つ者」。仮に実在していたとしたら、誰しもその力を使って天下を取りたいと思ったんじゃないかな。
一方で僕が演じる道啓はそれとは反対に、「異能は平和を成すための力」だと信じ、その信念のもと千里丸を導いていく存在です。
今の時代にも言えることですが、力のある者ほど慢心しやすいですから。その慢心が仇となって、知らず知らずのうちに自分を見失い堕ちていくことの怖さを、この作品は痛切に伝えているように感じます。
こんな時代ですから、ご来場いただくお客さんには舞台を観て、楽しんで、身体に抵抗力をつけてほしい。そのためにも、まずは演者である僕が予防を徹底して、余計な動きを一切しないことですね。それこそ、「仏門に入る」くらいの気持ちで(笑)。
一番は食事です。朝ごはんは決まって納豆、めかぶ、キムチ、麦飯の組み合わせ。このメニューをもう3年以上続けていますけど、定期検診はほとんど引っかかりません。
昔は暴飲暴食をくり返していましたが、今はできるだけ身体に優しいものを摂って、腹八分目に抑えるようにしています。仕事でも、少し空腹を感じているときの方が集中できるしね。
日課でやっているのは「素振り」です。特注で作った3キロの木刀があって、それを毎日100回振る。全身を使うから、下半身も上半身もバランスよく鍛えられるんですよ。
出演作品によっては立廻りを演じる機会もあるので、日々の鍛錬が演技にとても役立っています。
家事を積極的に手伝うようになりました。掃除や料理、最近は孫の子守をすることも増えましたね。次女の子どもが2人いるのですが、本当によく動き回るもので、なかなか体力を使います(笑)。
でも、そのおかげで母親の苦労を身に染みて感じられたというか。僕は自分が父親になったばかりのころは、仕事が忙しくて家事も育児も妻に任せきりでした。当時は子どもを育てるのがいかに大変なことか、正直分かっていなかったんです。
孫の子守を経験して、母親の偉大さを実感するのと同時に、妻には本当に頭が上がらないな…と。
そう。なので、このご時世にお仕事をいただけるのはもちろん嬉しいことですが、一方で「家のことを手伝いたい」という気持ちも今はあって。コロナ禍になって妻も娘も自宅で仕事をする機会が増えましたし、彼女たちが仕事に専念できるように、しばらくは僕がサポート役に回ろうかなと思っているんです。
健康も、やっぱり感謝が大事だと思う。以前、僕の後輩が心臓に病気を患ったとき、彼に聞いてみたんです――「身体に感謝してる?」って。
僕は、臓器にも意識が宿っていると思うんです。だから、心臓が痛かったらば、胸に手を当てて「心臓、ありがとう。今まで酷使してごめん」と、身体を労わる気持ちで言ってみる。実際にその後輩も、僕のアドバイスを聞いて「良くなりました」と言ってましたから。同世代で健康に悩んでいる方には、ぜひ実践していただきたいですね。
・新橋演舞場:
2021年3月12日(金)~21日(日)
・大阪松竹座:
2021年4月 3日(土)~11日(日)
【原作】築山桂「未来記の番人」(PHP文芸文庫刊)より
【脚本】羽原大介
【演出・振付】神在ひろみ
【出演】
戸塚祥太(A.B.C-Z) 惣田紗莉渚(SKE48) 松田悟志 冨岡健翔(ジャニーズJr.)
松村沙瑛子 山本健翔 大川良太郎 笠原章 勝野洋 渋谷天外
【公式サイト】http://miraiki2021.com/
チケットに関するお問い合わせ:
チケットホン松竹 0570-000-489