舞台俳優としてキャリアをスタートした後、ドラマや映画への出演、アニメの声優など幅広い活躍を見せる山路和弘さん。今回のインタビューでは、4月から上演予定のミュージカル『ゴヤ -GOYA-』の見どころと、ご自身の健康についてお話を伺いました。
山路和弘さんプロフィール
1954年、三重県出身。俳優として舞台を中心にドラマ、映画で活躍中。11年『第36回菊田一夫演劇賞』で演劇賞(「宝塚BOYS」「アンナ・カレーニナ」)を受賞。声優としても活動しており、外画ではヒュー・ジャックマンやジェイソン・ステイサムの声を担当することが多い。20年1月、声優の朴璐美と結婚。
今回のミュージカルは「スペイン最大の画家」と謳われるフランシスコ・デ・ゴヤの、波乱と情熱に満ちた人生を描いた物語です。僕が演じるテバ伯爵は、陰で計画を企てては主人公のゴヤを陥れようとする悪い奴。悪役はもとより好きなので、お声がけいただいたときは「面白そうだな」と思いましたね(笑)。
ゴヤを演じる今井翼くんとは今回が初めてですが、彼の凛としたバリトンの声と、歌唱シーンでどんな化学反応が起こせるか楽しみです。
もうずいぶん長くなりますね。裕美さんは、初めて会ったときに「演出家は一生この人でいいな」と思ったほど信頼している方で。僕のような年寄り相手にも容赦なく鞭を入れてくるんですけど、そのダメ出しがどこか軽快で個人的には好きなんです。しばらく裕美さんの稽古をやっていないと、「久々に〝鈴木節〟を聞きたいな……」なんて懐かしくなったりもするので(笑)。今回またご一緒できたのは嬉しいです。
声優の仕事ではハリウッド映画の吹き替えをすることもあるんですけど、もともと役が存在しているところに「声を乗せる」ことは意外とすんなり出来るわけで。
舞台の場合は難しくて、役も声色も自ら「創る」ものなんですよね。もちろん、ある程度は演出で抑えられます。それでも、自分の一挙手一投足がキャラクターのイメージやその先の芝居をガラッと変えるきっかけになったり、ふとしたアクシデントが良くも悪くも思わぬ方向へ転ぶことはよくあるんです。
そういう「予測不可能なこと」が、舞台においては一種の〝麻薬〟なのかもしれません。
僕は健康に程遠い人間なんですけどね(笑)。仕事柄、なかなか規則正しい生活はできないですし。
ただ、「仕事ごとの切り替え」は大事にしていますね。朝から晩まで息をつく暇もないほどスケジュールをびっしり詰めていたら体が持たないので、一つ終わったら家に帰って猫を愛でるとか、料理をしたりとか。隙間時間を見つけて、身近なことで自分の気持ちをリセットするように心がけています。
コロナ禍になってから、特に外食の機会が減りましたからね。去年の4~5月は本当に作ってばかりで、料理の腕は確実に上がりました(笑)。家では妻よりも僕が作ることの方が多くて、色々とリクエストに応えながら楽しく料理しています。
「自分がホッとできる場所」を用意してくれているんだな、と感じますね。一番近いところで僕を分かってくれて、許してくれる存在が妻なのかなと思います。
それこそ、結婚のすぐあとにコロナが蔓延して自粛生活が始まったものですから、二人して「本当に良かったね」なんて話していました。もし一人で篭り続けていたら、この危機的状況に耐えられていなかったかもしれないって。そういう意味では、妻と結婚して家庭を築けたことが、いま僕が健康でいられている一番の理由かもしれないですね。
僕が言うのも変ですが、役者の仕事ってストレスの塊なんです(笑)。とにかく人と接していないと出来ないし、「自分じゃない誰か」を演じるという意味でも、精神的にかなり疲れるものなので。
健康を害する一番の原因って、結局ストレスだと思うんです。だから、それを一つひとつ無くしていくことが大事なんじゃないかと。何か特別なことをするわけではなくて、僕みたいに猫を愛でるとかでも良い。ぜひ、自分なりの些細な「リセット法」を探してみてください。
【原案・脚本・作詞】G2
【演出】鈴木裕美
【作曲・音楽監督】清塚信也
【出演】
今井翼 小西遼生 清水くるみ 山路和弘
仙名彩世 塩田康平 天宮良 キムラ緑子
【公式サイト】https://www.shochiku.co.jp/engekiw/lineup/musical_goya/