力強い目元とサングラスがトレードマークの哀川翔さん。近年ではあらゆるジャンルの作品に出演し、今後の俳優活動に注目が高まっています。今回出演した映画『一月の声に歓びを刻め』では、悲しい過去を受けながらも、実娘との空いた距離を埋めるために葛藤する父親役を好演。そんな哀川さんの実際の父親っぷりとはいかに!? ほがらかな笑顔でハツラツと語る健康観や今後の生き方についてもお聞きしました。
徳島県徳島市生まれ。一世風靡セピアの一員として「前略、道の上より」でレコードデビュー。TVドラマ「とんぼ・連続ドラマ(TBS)」、映画『オルゴール』で一躍脚光を浴びる。99年に「第 8 回日本映画プロフェッショナル大賞」、02年には「第1回DVシネマ大賞」でそれぞれ最優秀主演男優賞を、04年に「第 13 回日本映画批評家大賞」でベストパーソナリティー賞を、05年には『ゼブラーマン』で「日本アカデミー賞優秀主演男優賞」を受賞。近年の出演作として、『牙狼〈GARO〉- 月虹ノ旅人』(19年)、『老後の資金がありません!』(21年)、『春に散る』(23年)等がある。 お正月、洞爺湖の近くで1人暮らしするマキ(カルーセル麻紀)の家に家族が集まり、彼女が作ったおせち料理を囲む。マキはかつて次女れいこを亡くしており、一家団らんの場に喪失の雰囲気が漂う。 三島監督とは本作を受ける前に一度面識があって。その際に今後作品をやるときはぜひ、とお話いただいたのが印象に残っていて、即座にOKしました。俺は基本的にオファーをもらったら断らないんだけど、監督が自分に対してとてもストレートに思いをぶつけてくれたことが嬉しかったですね。 男手一つで娘を育ててきた父親を演じました。5年振りに帰省した娘が妊娠していることに気づくけど、自分からは聞けないような距離感が娘との間にある。どうしたら良いか分からなくなって、距離を埋めるために必死なわけです。怒りを鉄パイプで表したり。その中で娘から「人はみんな罪人だ」と言われるシーンがあるんだけど、役を超えてグサッときましたね。人間っていろんなことがあるけど、新たに船出できるというか、新しいスタートを切れるって思わせてくれるのが、この作品の魅力だと思います。 © bouquet garni films 子どもに関しては小さいときから一貫して、好きにさせていますね。やりたいことは何でもやってみて、問題があったときは言えぐらいで育てて。5人子どもがいるけど、これまで強く叱ったのは一人一回ずつくらいしかない。幸いにもグレた子はいなくて、というか親がグレ過ぎちゃって(仕事柄、役中において)それどころじゃ無いみたいな(笑)。当時はVシネマにもよく出させてもらっていたから。「今日は背中に何が描いてあるの⁉」みたいなことばっかりで、子どもに影響しなくて良かったです(笑)。 例えば子どもが小さいとき、夏休みなんかは「どっか連れてけ」って言うじゃないですか。どっか連れてっておけば良いんですよ。だから夏休みが40日間あるとして、30日間毎日海に行きました。そしたら31日目に、子どもに「また海行こうか」って言ったら「ねえねえ、たまには家でくつろごう」って。そこからどっか連れてけって1回も言われなくなりましたね(笑)。 もう何十回と仕事やプライベートで訪れていて、釣りをすることが多いです。観光大使に就任したこともあって、海の掃除をしたり、とても思い入れがある場所ですね。俺はいつも飛行機で行くんだけど、今回の撮影でフェリーを初めて見てこんなに大きいのか!と驚いた。ほかにも自然が豊かで夕日がきれい、温泉もあって最高なところです。 早寝早起きです。夜は何も無かったら21時には寝て、朝は5時に起きてる。一番下の子どもが生まれた頃から、子どもに合わせて生活する習慣がついちゃって。釣りが趣味なこともあって、深夜2~3時に起きることもあるから自分には合っていると思います。 晩御飯をあまり食べすぎないことは意識しています。お酒はコロナの影響でそもそも飲む機会がなくなって、家でも1~2杯しか飲まなくなって本当に減りました。飲まなくなったら痩せたね~。カロリー高いね、やっぱり。 遊び続けられたらと思います。遊びはやっぱり元気の源。これまで何のために仕事をしていたかと言うと、俺は遊ぶために仕事をしていたところもあるから。旅行や趣味を楽しみたい、そのために仕事を頑張るといったサイクルが俺のスタイルです。遊びに対するエネルギーが消えて、例えば釣りにも行きたくないってなったらもう終わりだって思う。
2月9日(金)テアトル新宿ほか全国公開 【出演】 【脚本・監督】三島有紀子 © bouquet garni films
ヘアメイク/小林真之
衣装クレジット/Twins & Co.
撮影/梁瀬玉実~哀川翔さんプロフィール~
映画『一月の声に歓びを刻め』~あらすじ~
八丈島に暮らす牛飼いの誠(哀川翔)のもとに、娘の海(松本妃代)が5年ぶりに帰省する。誠は交通事故で妻を亡くし、男手ひとつで海を育てた。海は妊娠しており、結婚さえ知らずにいた誠は複雑な思いを抱く。
元恋人の葬儀に参列するため故郷の堂島を訪れたれいこ(前田敦子)は、レンタル彼氏をしている男トト・モレッティ(坂東龍汰)に声をかけられる。過去のトラウマから誰にも触れることができない彼女は、そんな自分を変えようと、男と一晩過ごすことを決意する。3つの島を舞台に、心に傷を負った人々が交差する本作品。哀川さんは三島監督より直々にオファーを受けられ、出演を決めたのだとか。
凄惨で難しいテーマを扱いながらも映像がとても美しく、登場人物に寄り添いたくなる作品でした。今回哀川さんが演じた、八丈島で牛飼いをする父親について教えてください。
映画と同じく、20代の実の娘がいらっしゃる哀川さん。普段のご家族への接し方や、コミュニケーションはどのように?
哀川さんと言えばVシネマの印象はもちろんあるので、普段なかなか聞けないご家族とのエピソードが聞けて興味深いです。
見事に子どもの心理を逆手にとってらっしゃる。今回撮影が行われたのは東京都の八丈島。プライベートでもよく行かれるのだとか。
映画やドラマはもちろん、バラエティーなど活躍の場を広げている哀川さんの健康法を教えてください。
健康的ですね。お食事面や飲酒に関してはどうですか。
芸能活動35年以上、62歳を迎えられた哀川さんですが、今後どのように歳を重ねていきたいですか。
趣味も仕事も、やり続けたら良さが分かるって言いますよね。上手くいかないことがあって、それを乗り越えたらもっと楽しくなる。積み重ねが大切だし、それを楽しんで今後も生きていきたい。自分を含め、周りの皆が一生懸命楽しそうに生きていることが俺にとって嬉しいことだから、まずは自分が楽しく生きていることを醸しだせればいいな。
前田敦子 カルーセル麻紀 哀川翔
坂東龍汰 片岡礼子 宇野祥平
原田龍二 松本妃代 とよた真帆