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俳優 北村一輝さんインタビュー(2024年3月25日掲載)

持ち前の演技力と唯一無二の存在感で、ジャンルを問わず多くの作品に引っ張りだこの俳優、北村一輝さん。キリッとした印象とは裏腹に、穏やかな笑顔でとてもフレンドリーな一面を見せていただきました。ミュージカル初主演となる『王様と私』の見どころ、ストイックな役作り、こだわりの健康観など、たっぷりお届けします!


ヘアメイク/松本幸子 スタイリスト/櫻井 賢之(casico) 撮影/梁瀬玉実
ジャケット、パンツ、シューズ/全てスタイリスト私物

~北村一輝さんプロフィール

大阪府出身。1990年にドラマ『キモチいい恋したい!』(CX)で俳優デビュー。99年には映画『皆月』『日本黒社会 LEYLINES』の出演においてキネマ旬報新人男優賞を受賞し注目を集める。以降、数多くの映画・ドラマに出演し、強烈な個性と存在感を放っている。近年の主な出演作は、【舞台】『欲望という名の電車』(17)、『大逆走』(15)、『黴菌』(10)、【映画】『陰陽師0』4/19公開待機、『ゴールド・ボーイ』(24) 、『カラオケ行こ!』(24)、『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』(23・Netflix)、『沈黙のパレード』(22)、『ヘルドッグス』(22)、【ドラマ】『コタツがない家』(23・NTV)、『波よ聞いてくれ』(23・EX)、『テッパチ!』(22・CX)、『天国と地獄〜サイコな二人〜』(TBS・21)などがある。

持ち前の演技力と唯一無二の存在感で、ジャンルを問わず多くの作品に引っ張りだこの俳優、北村一輝さん。キリッとした印象とは裏腹に、穏やかな笑顔でとてもフレンドリーな一面を見せていただきました。ミュージカル初主演となる『王様と私』の見どころ、ストイックな役作り、こだわりの健康観など、たっぷりお届けします!

ミュージカル『王様と私』~あらすじ~

 1860年代のシャム(現タイ)。イギリス人将校の未亡人アンナ・レオノーウェンズ(明日海りお)が、はるばる王都バンコクまでやってくる。植民地化を図る欧米列強を憂い、国の近代化を図る王(北村一輝)は、国の将来を背負う子供たちに、西洋式の教育を受けさせるために、アンナを家庭教師として雇ったのだった。シャムの専制君主とイギリス人家庭教師。人一倍頑固で誇り高い二人は、最初はことあるごとに対立をしていたが、お互いに先見の明を持ち、誠実な心を持っていることを知り、国籍や身分を超えて、人間としての信頼を深めてゆくのだった。
 そんなある日、イギリスの特使がバンコクにやってくるとの急報がもたらされた。対応を誤れば、隣国のように植民地にされてしまうことを恐れる王様に対して、アンナが取った行動とは…!?

全世界で演じ継がれる、ブロードウェイ・ミュージカルの頂点『王様と私』。北村さんが演じる「王様」について教えてください。

 とても「愛情深い」印象を持っています。国を守るため、ひいては国の未来を担う子供たちのために教育を受けさせようと、アンナ(明日海りお)と最初は対立するものの、お互いに誠実だからこそ次第に理解し合って打ち解けていく過程に、人間的な大きな愛情を感じました。また親の代から続いている「王」という血筋や伝統を守るため、弱いところを人に見せられない面があり頑固にも見えますが、苦悩や葛藤、愛情といった内面の感情を力強く見せていきたいです。

王様の内面がとても分かりやすいのが、劇中に流れる『パズルメント』という曲ということで。稽古を通して、歌の表現には手ごたえを感じていますか。

 苦戦していますね(笑)。普段自分が使わない言葉はもちろん、歌詞を見ながら楽曲を聴いていてもリズムや歌詞の区切り目が難しいです。過去演じられた方々のミュージカルを見て参考にもしていますが、今までとはひと味違う工夫をしたいと思っています。ミュージカルは初挑戦で、良い意味で型にはまらず、エネルギッシュに挑戦したい。歌が「上手いから聴きにきてください」くらいの強気で言って、自分の首を絞めてやるぐらいじゃないといけないなと思います。

今作品含め、北村さんのストイックな役作りや作品への向き合い方は目を見張るものがあります。その高い熱量はどこからくるのでしょう。

 18~19歳で東京に来てこの仕事を始めた頃は右も左も分からなく、事務所に所属もできず、何もできませんでした。だからこそ、普通にやっていてはダメだと気づいたし、後先考えずに今できることを精一杯やってみようと思いました。自分でアピールしないと次が無いといった危機感と、とにかく行動したことが今の土台になっています。仕事の依頼をいただいた以上、本日の取材も含めどこまでできるかは自分次第だと思うので、力を尽くすのはもちろん、年齢を重ねるごとにいろんな魅せ方ができればと思います。

エネルギッシュな北村さんを支える体、健康面についてもぜひ聞かせてください。

 健康は、40代半ばからとても意識しています。まず、煙草は止めました。吸うたびに「まずい!」と思い込むように、いわゆるマインドコントロールですね(笑)。煙草を止めてからはとにかく水をたくさん飲み始めて、血のめぐりが良くなったのか、体が楽になりました。
 あとはとにかく病院に行って定期健診を受けること。人間ドッグはもちろん、胃腸は専門機関で診てもらう。何事も後回しにするのが嫌な性格で、悪いところがあれば早く見つけるのが一番大切だと思っています。

健康に対する意識の高さが伺えます。稽古や公演中の体力づくりはいかがですか。

 ストレッチや柔軟を心掛けています。体が柔らかくなると、自然とトレーニングがしたくなります。逆に体が硬いままだと、ジムに行ってもやる気が出ません。例えば子供は体が柔らかくていろんな角度の筋を伸ばすからケガしにくいですよね。運動をする前に、運動したいと思える体が必要だと思います。

忙しい期間のつかの間の休息というか、ご褒美で取っているものはありますか。

 ご褒美に物を買ったり、美味しいものを食べたりはあまり意識していません。僕は、毎日がご褒美だと思っています。今回の役を貰えたこと、今こうやって取材を受けていることもご褒美だと感じます。というのも最近、歌手の優里さんの『ビリミリオン』という曲を知ったのがきっかけで、健康な体や時間はお金では決して買えないと改めて気づかされて、一日一日の大切さに感謝するようになりました。ネガティブな感情や、人と比べてイライラして時間を消費するよりも、自分含めまわりの人の良いところを引きだす方に働きかけたいですね。

作品はもちろん、関わる人への真摯さが人気の絶えない秘訣だとお見受けしました。まわりから「チャーミング」と言われることもあるそうですが、北村さん自身もそう思いますか?

 思ったことは誰に対しても何でも口に出すので、近くにいる人はよく笑いますね。おそらくそういうところがチャーミングと言われるのかな? こうして取材を受けても、マネージャー、親、誰に対しても同じように話します(笑)。良くも悪くも素直だから間違いも多くて、そのときは「ごめん」と正直に謝ります!

チャーミングで素敵です。ありがとうございました!

【東京公演】2024年4月9日(火)~4月30日(火) 日生劇場
【大阪公演】2024年5月4日(土)~5月8日(水) 梅田芸術劇場メインホール

【音楽】
 リチャード・ロジャース

【脚本・歌詞】
 オスカー・ハマースタインⅡ

【翻訳・訳詞・演出】
 小林 香

【出演】
 北村一輝 明日海りお ほか

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