唯一無二の存在感、白い肌とスラっとした高身長から、どこを切り取っても絵になる江口のりこさん。あらゆる作品においてその存在感を発揮し、近年ますます注目度が高まっています。今回主演を務める、吉田修一さん原作の『愛に乱暴』では狂乱じみた妻役を熱演。作品の魅力や健康観をぽつりぽつりと語りつつも、ユーモアを含んだ独特の雰囲気にどんどん引き込まれてしまいました!
1980年4月28日生まれ、兵庫県出身。00年に劇団「東京乾電池」に入団し、同劇団の公演に参加しながら02年『金融破滅ニッポン 桃源郷の人々』(三池崇史監督)で映画デビュー。『月とチェリー』(04/タナダユキ監督)で映画初主演。『事故物件 恐い間取り』(20/中田秀夫監督)で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。近年の主な出演作に『愛がなんだ』(19/今泉力哉監督)、『ツユクサ』(22/平山秀幸監督)、『川っぺりムコリッタ』(22/荻上直子監督)、『BAD LANDS バッド・ランズ』(23/原田眞人監督)など。最新作は主演作『あまろっく』(24/中村和宏監督)、公開待機作に7月12日公開の『お母さんが一緒』(24/橋口亮輔監督) 、7月26日公開の『もし徳川家康が総理大臣になったら』(24/武内英樹監督)など。TVドラマ「時効警察」シリーズ(06・07・19/テレビ朝日)、「半沢直樹」(20/TBS)、「ソロ活女子のススメ」シリーズ(21~24/テレビ東京)、「SUPER RICH」(21/フジテレビ)などでも個性を発揮し、人気を博している。 ヒリヒリとした情動に焼かれ、私もこの愛も乱れていく。 夫(小泉孝太郎)の実家の敷地内に建つ“はなれ”で暮らす桃子(江口のりこ)は、結婚して8年になる。義母(風吹ジュン)から受ける微量のストレスや夫の無関心を振り払うように、センスのある装い、手の込んだ献立などいわゆる「丁寧な暮らし」に勤しみ毎日を充実させていた。 監督の森ガキさんとはドラマやCMでご一緒したことがあったのですが、今回映画では初めてだったのでとても嬉しかったです。オファーをいただいたときはまだ原作も読んでいませんでしたが、あらすじを聞いただけで「面白い」と感じたのを覚えています。 原作のエピソードが脚本には無かったり、映画では違う書き方がされていたりと、「全く違うもの」といった印象を持ちました。とにかく原作が面白かったので、「映画」をつくるにあたって難しいと感じる部分もあったのですが、お義母さん役の風吹ジュンさんの存在は大きかったですね。お義母さん(風吹さん)がそこに居て、その存在がはっきり見えたときに、映画版の『愛に乱暴』をやればいいんだと思えました。それまでは原作をカバンの中に入れて現場に行っていましたが、撮影が半分過ぎた頃からは持って行かなくなりました。 言葉にするのは難しいのですが、風吹さんは風吹さんでご自身の役と戦っているわけです。そういった姿を単純に毎日現場で見せてもらえることで、風吹さん含めここにいる人たちと一緒につくっていけば映画版の『愛に乱暴』がつくれると思ったというか。風吹さんのお芝居の質とか、年上とか、先輩であること以上に、「存在する」だけで言葉にはできない魅力があると感じました。 Ⓒ2024「愛に乱暴」製作委員会 孝太郎さん演じる夫の真守は、役柄的にはひどいと思います。もしああいう人が夫になったら寂しいですよ。求められていないって、はっきり分かりますから。劇中では緊迫したシーンが多いですが、撮影の合間では孝太郎さんと雑談もよくしました。ゴルフがお好きで、ご自身でラジオもやられているので一緒に聴いたり。そのラジオがとんでもないタイミングでCMが入るんですよ(笑)。孝太郎さんとの雑談も含め、撮影現場の雰囲気はとても良かったです。監督が「みんな楽しく仕事をするのが一番だ」という思いをもっていらっしゃったのが大きかったと思います。 Ⓒ2024「愛に乱暴」製作委員会 確かにチェーンソーはキレイに見えました。大道具さんによるチェーンソーのレッスンがあったので現場でもスムーズに扱うことができて、特に難しさは感じなかったです。キレイに映ったのはもちろん技術チームさんのおかげです。ぜひ劇場で見ていただければと思います。 起きて寝る、ちゃんとしたご飯を食べる、歩く、を大切にしています。7~8時間は寝たいですね。寝具とかにこだわっているわけでもなくて、たまにシーツとベットカバーを洗濯するくらいです。食事は自分のつくるご飯が一番好きなので、基本的に自炊です。旬の野菜を使ったパスタはよくつくります。今の季節だったらズッキーニとか。野菜は好きなので積極的に取り入れています。あとは歩くこと。仕事が忙しくなるとどうしても歩く機会がなくなるので、休みの日は歩いてちょっと遠いスーパーに行ったり、移動も一駅くらいなら歩きます。 Ⓒ2024「愛に乱暴」製作委員会 しんどいです、ずっと(笑)。首、肩、右足のつけねが痛い。でも、ある程度は付き合っていくしかないと思って受け入れています。先輩に疲れが取れないと相談したときに、「それが自分だと思ってやっていくしかない」と言われたこともありました。なるほどなって思いましたね。疲れを取らなきゃと思うほど逆にそれがストレスになるというか、「こんなもん」と思えば楽になりました。 びっくりするほど、歳は勝手に重なっています。恥ずかしいですけど、気分としては今でも19歳で上京したときから変わっていないんです。当時の先輩たちもまだ居るので、取り巻く状況も変わっていない。いろんな仕事をさせてもらえるようになったけど、今自分が44歳というのが信じられません。なので、例えばこの先20年後、64歳になっても同じようなことを言っているんじゃないかなと思います。でもやっぱり、恥ずかしくないように生きていきたいとは思うので、たまには年齢をちゃんと自覚して(笑)、しっかりやっていかなきゃと思っています。
ヘアメイク/草場妙子
スタイリング/清水奈緒美
撮影/梁瀬玉実~江口のりこさんプロフィール~
映画「愛に乱暴」~あらすじ~
そんな桃子の周囲で不穏な出来事が起こり始める。近隣のゴミ捨て場で相次ぐ不審火、愛猫の失踪、不気味な不倫アカウント…。平穏だったはずの日常は少しずつ乱れ始め、やがて追い詰められた桃子は、いつしか床下への異常な執着を募らせていく・・・。
吉田修一さん原作『愛に乱暴』の映画化にあたり、主人公・桃子役のオファーを受けた際はどう思われましたか?
原作と脚本で違った印象は持ちましたか?
風吹さんのどういった存在感が江口さんに影響を与えたのでしょうか。
風吹さんのほかにも夫役の小泉孝太郎さんと共演されています。映画を拝見しましたが、さわやかな小泉さんのイメージが覆されました。
劇中では江口さんがチェーンソーを扱うシーンが衝撃的かつ美しかったです。
高身長でスラッとしている江口さんですが、スタイルキープや健康維持はどのように?
とても健康的な生活をされていますね! 体が疲れているなと思うことはありますか。
役者人生20年以上、19歳で劇団入りした江口さんですが、今後役者としてどのように歳を重ねていきたいですか。