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俳優 中原丈雄さんインタビュー(2025年6月25日掲載)

熊本県人吉市出身の俳優・中原丈雄さん。渋い声とあたたかな笑顔で、映画やドラマで味のある存在感を放ってきました。近年では映画『ファミリア』やドラマ『なつぞら』などで話題に。さらに絵を描いたりギターを弾いたり、アーティストとしての一面も! 今回は、そんな中原さんに故郷・人吉を舞台にした主演作や、健康・人生観について語っていただきました。

撮影/牧野健人

~中原丈雄さんプロフィール

熊本県人吉市出身。劇団未来劇場に所属し数多くの舞台を踏んだ後、映画やテレビ等の映像世界へ。中島丈博監督『おこげ』(92)で映画デビューし、妻を持つ同性愛者の中年サラリーマンを演じて絶賛される。以降、現代劇、時代劇を問わず幅広く活動中。特技の絵画では、“中原丈雄”の名付け親でもあるシャンソン歌手の石井好子氏のすすめで個展も開催し、ART BOX大賞ギャラリー賞を受賞。また、プライベートバンド「TAKEO.UT☆MEN」でライブも行っている。2024年には主演映画『おしゃべりな写真館』が公開された。

熊本県人吉市出身の俳優・中原丈雄さん。渋い声とあたたかな笑顔で、映画やドラマで味のある存在感を放ってきました。近年では映画『ファミリア』やドラマ『なつぞら』などで話題に。さらに絵を描いたりギターを弾いたり、アーティストとしての一面も! 今回は、そんな中原さんに故郷・人吉を舞台にした主演作や、健康・人生観について語っていただきました。

映画『囁きの河』~あらすじ~

「熊本豪雨」から半年後のある日、母(寺田路恵)の訃報を聞いた今西孝之(中原丈雄)は、22年ぶりに故郷の町に足を踏み入れ、山が削られ、多くの家屋が流されて、川の地形まですっかり変わり果てた故郷の姿を目にする。孝之は、22年会うことのなかった息子の文則(渡辺裕太)と再会。文則は孝之の以前の職である球磨川下りの船頭になるための修業に励んでいるが、かつて幼い自分を見捨てた父に心を開こうとはしない。孝之のかつての恋人である老舗旅館「人吉三日月荘」の女将の雪子(清水美砂)は、半壊した旅館をなんとか再生しようと試みるが、孝之の幼馴染でもある夫の宏一(三浦浩一)は、目の前で父が土砂に呑み込まれるのを見てから、雪子と口を利けていない。孝之の隣人・横谷直彦(不破万作)は、妻・さとみ(宮崎美子)のリクエストで、仮設住宅を出ることにするが…。

映画『囁きの河』への出演はどのように決まったのですか?

 最初は僕の地元である、熊本県の人吉・球磨で映画を撮るらしい、という話が耳に入ってきただけでした。ところがある日、プロデューサーさんから「中原さん、力を貸してくれないか」と声をかけられたんです。でも当時は、俳優としてだけではなく、地元への挨拶回りなどの裏方的な協力を含んだ上でのお話でした。僕の大切な故郷なので、協力したい気持ちはやまやまだったのですが、関係各所に頭を下げてまわるというのは、俳優としていかがなものかと率直に思い、前向きではありませんでした。その後しばらくして、「脚本が変わって主演でお願いしたい」という話をいただきました。脚本を読んだら一気に惹き込まれたこともあって、正式に出演をお受けしました。うれしい気持ちでいっぱいでしたね。

中原さんが演じた「今西孝之」の役柄にも非常に魅力を感じられたとか。

 そうなんです。今西孝之という男は、何十年ぶりに故郷に戻ってくる、どこか影のある人物。作中では子どもを捨ててしまった背景なんかもあります。実際にいたら好かれないかもしれないけれど、演じることで「そういう生き方もある」と観る人に感じてもらえるような深みがある。これは演じてみたいと思いましたね。僕自身、人吉の出身ということもあって、地元の人たちにも作品を届けられることがうれしかったです。

地元への想いがにじみますね。

 僕は中学・高校時代から俳優になりたいと思っていましたが、地元では誰にも言えなかったんです。「俳優になりたい」と口にしたら、「馬鹿たれが~」なんて言われて、笑われることも多々ありました。俳優だけではなく、普通の仕事だとしても「地元から離れる」こと自体があまり良くは思われなかったんだろうな。地元に残る人たちからすれば、出ていって欲しく無かったんでしょう。僕は上京してからも長く芽が出なかったので、そんな背景もあり、帰省してもこっそり帰っていました。だから今回、こうして地元で主演を務めることになり、ようやく胸を張って帰れるような気がしています。

ご多忙の中で、健康管理にはどのように取り組んでいますか?

 コロナ禍で体重が増えてしまって、当時77キロくらいあったんです。これはまずい、体重を落とさなきゃと思って、ランニングを始めてみたのですが1カ月ほどで膝を痛めてしまって…(苦笑)。これは続けられないから、歩こう! と一念発起してウォーキングを始めました。そこからは毎朝30分、いわゆる「競歩」のような速歩きをしています。今も続けていて、5キロほど落ちて体調もいい。年齢を重ねても体はちゃんと応えてくれると実感しました。やっぱり体を動かすって大事だと実感します。夏場は汗びっしょりになりますけど、それがまた気持ちいいんですよ。

特にこの季節はウォーキングも気持ちが良いですよね!
ほかにも、例えば「心」の健康のために大切にしていることはありますか?

 僕は絵を描いたり、ギターを弾いたり、写真を撮ったりするんですが、それらの趣味が心のバランスを保ってくれていると思います。特に、「誰かに見せる」という行為が大切。自分だけで完結するより、たとえ家族でも誰かに伝えることで、「もっと頑張ろう」という前向きな気持ちになれるんですよ。批判されても、それがまた力になる。「よし、もっといいものを作ろう」ってね。

とても前向きなお考えですね!

 僕は「今日ダメでも明日がある」という考え方が好きです。過去のことにくよくよしても仕方ない。明日はきっと違うと信じて、一歩ずつ進む。それが、元気に生きるコツだと思います。

最後に、地元・熊本の「元気が出るごはん」を教えてください。

 熊本といえば馬刺しも有名ですが、僕にとっての「元気の味」は「桂花ラーメン」のターローメン。太い麺にキャベツ、味のしみた角煮、そして濃厚な豚骨スープが絶妙なんです。東京にもお店があって、疲れた時にふと思い出して食べたくなる味ですね。

貴重なお話をありがとうございました!

6月27日(金)〜熊本県の熊本ピカデリーにて先行公開

7月11日(金)より池袋シネマ・ロサ、シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開

【出演】
中原丈雄 清水美砂 三浦浩一
渡辺裕太 篠崎彩奈 カジ 輝有子
寺田路恵 不破万作 宮崎美子

【監督・脚本】
大木一史

【配給】
渋谷プロダクション

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