「四季の歌」や「おもいでのアルバム」など、多くの国民的愛唱歌を歌い続け、幅広い年代から支持されている歌手・芹 洋子さん。
4月10日に発売されるCDアルバム『芹洋子 ベストセレクション2019』のお話や、健康対策などについて伺いました。
撮影/安友康博
はい、これまでレコーディングしてきた、たくさんの曲を詰め込んでいます。「芹洋子=四季の歌」というイメージがあって、これまでずっとアルバムでは四季の歌を一番最初の曲にしていましたが、今回は初めて一番最後に入れています。「四季の歌に思い入れがあるんです」とおっしゃるファンの方も多いですね。
私は、人々の中で支持されている歌を、これは形として残さないといけないなと思ってレコードやCDを出すことがほとんど。代表作の一つでもある「坊がつる讃歌」もそうです。登山愛好家の間で歌われていた歌で、「芹さんに合いますよ」と教えていただいたもの。それぞれに人との触れあいがあるので、すべての曲に思い入れがあります。
それに、人々に愛されてきた…生きる力を持った“命のある歌”というのは、パワーをいただけるんです。私を支えてくれるものも多くて、だから歌い続けてこられたのかなとも思いますね。これからも人々に愛される歌をずっと歌い続けていこうと思っています。
歩いているところにバイクが突っ込んできたんです。頭を打って、外傷性くも膜下出血に…。まったく意識がなくなっちゃったんですよ、頭の中が真っ白になってね。目覚めた時は、自分が歌手ということも分からない状態でした。
でも、事故から1カ月後にコンサートの予定が入っていたんです。リハビリは本当に厳しかったですね。記憶がないから、30曲くらいを必死で覚え直しました。
コンサートの一番最後の曲が四季の歌でしたが、途中から歌詞が出なくなってしまったんです。そうしたら、会場の皆さんが大合唱で歌ってくださったんですよ。もう、本当に感動でした! 胸が張り裂けそうなくらい嬉しくて、涙涙だったのを覚えています。
自分の体験から、病気や怪我からの復帰には、自身の努力もありますけど、それ以上にいろんな人の力が必要なんだなと本当に思いました。身体がマイナスな状態だと、気持ちもネガティブになりがち。そういったマインドが影響して、余計に悪くなっている方も多いと思うんです。ですから、私の経験を伝えることで何かのヒントになればいいなと思って、最近はトークコンサートをたくさんしています。
事故に遭ってから、自分はもう歌っていけないかもと思う時期があったんです。だったら、歌以外にも自分が表現できるものを探そうと考えていた時に、たまたまステンドグラスの作品展へ行ったんですよ。ガラスにはない色が無くて、チタンなどの鉱物を使うと輝く色になるし、光があるものも作れる。そういった色彩の素晴らしさに惹かれました。
あと、いつ壊れるか分からないガラスの儚さに事故体験とオーバーラップする面を感じて、この道を究めればいいのかもと思ったんです。それからガラス工房に通い始めて、のめり込んでしまいました(笑)。今ではカルチャー教室で講師もさせていただいています。
昔から、プールの中でダンスをするアクアビクスをしています。誰でも歳を重ねるごとに、体にひずみが出てくるもの。でも、維持できるところは維持したいので、ずっと続けています。プールの中で真っ直ぐに歩くのと、後ずさりするだけでもすごく体にいいそうですよ。背中の筋肉って普段なかなか使わないですけど、後ろ歩きをすることで使われるから。ダンスは音楽の面でも生かされるので、アクアビクスは私にとっては一石二鳥というか三鳥、四鳥ですね(笑)。仕事のない時はできるだけ行くようにしています。
趣味を持つこと。いろいろなことに関心を持つ、アンテナを立てることが大切だと思います。そうして、いろんな方に会ったり、体験したりする。そういうことで、毎日が楽しく過ごせるんじゃないかなと思いますね。
私はよく色紙に「出逢い、ふれあい、歌いあい」と書くんです。音楽を通して、人々と一緒に手をつないで繋がっていきたいという思いから。“人”という字はよく支え合ってできていると言われますけど、その通りだと感じています。でも、じっと待っているだけでは誰も寄ってきてくれない。まずは、自分から飛び込んでいくようにすることが大切じゃないかなと思います。
4月10日発売
芹洋子の魅力がたっぷり詰まった2枚組ベスト。
価格:4,000円(税込)
発売元:キングレコード
一般社団法人日本歌手協会
「第24回紅白歌合戦」に出場!
2019年4月3日(水)
練馬文化センター
お問い合わせ:TEL 03-6280-4230
よみうりカルチャー
「芹洋子と楽しむガラス工芸」講座
○よみうりカルチャー錦糸町
第1・3月曜 15:30~17:30
お問い合わせ:03-5625-2131
○よみうりカルチャー恵比寿
第2・4月曜 13:30~15:30
お問い合わせ:03-3473-5005