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俳優 螢雪次朗さんインタビュー(2019年5月25日掲載)

バイプレイヤーとして数多くのドラマ、映画に出演している螢雪次朗さん。622日公開の映画「ある町の高い煙突」でも憎まれ役を好演されています。実際はとても人当たりの良い螢さんに、映画の見どころやご自身の健康について聞きました

撮影/安友康博

バイプレイヤーとして数多くのドラマ、映画に出演している螢雪次朗さん。622日公開の映画「ある町の高い煙突」でも憎まれ役を好演されています。実際はとても人当たりの良い螢さんに、映画の見どころやご自身の健康について聞きました

「ある町の高い煙突」はどんな映画なのか教えてください。

今から約100年前の明治の終わりの時期のお話で、日立鉱山から出る煙によって被害を受けた村の若者たちが、日立鉱山側と交渉していきながら解決策を探していくという物語です。

公害の話というと、どうしても被害を受けた村人たちが「善」、公害の原因を作っている企業側が「悪」という構造の啓蒙主義的な作品になってしまうことがよくあります。ただ今作は、そうした啓蒙主義的な作品ではなく、娯楽作品としてとてもよくできた面白い作品に仕上がったと思っています。僕も仕事柄多くの映画を見てきましたが、客観的に見てオススメできる映画ですね。

映画では若い人たちが煙害と闘っていく姿が描かれていました。螢さん自身の若い頃は、どのようなことに情熱を傾けてきましたか?

表現することが大好きだったので漫画家や落語家になろうかとも考えましたが、やっぱり一番憧れたのが役者でした。十代のころから役者になろうと決めて、それ以来、役者以外のことに情熱をかけることは全くありませんでしたね。

一番好きなことを仕事にできたのでとても幸せなことだと思いますが、それ以外の趣味と言えるものが全くないのが悩みともいえます(笑)。

映画の中で螢さんは憎まれ役である日立鉱山の補償係を演じておられます。

「金をもらって村から出て行った方がいいでしょう」と言って、団結しようとしている村人を切り崩していく本当に嫌な奴です(笑)。

だ、こうした憎まれ役は演じていてとても楽しい。というのも、どんなこと言えば主人公は傷つくのか、見ている人に嫌な奴だと思ってもらえるかを考える必要があるので、演技のうまさが求められます。ネチネチと攻撃しなければならないので遊び心も必要だし、迫力も必要です。役者としては誰もがやりたいと思う役なので、こういう役をいただけてとても感謝しています。

弱々しいと憎まれ役は成り立ちません。つまり、エネルギッシュでいる必要がありますが螢さんの元気の秘訣は。

若い頃から特に健康のために何かをしようと考えたことはありませんでしたし、今でも毎日お酒を飲んでいるので、皆さんに誇れるような健康法は全くありません(笑)。ただ役者という仕事はこれからもやっていきたいと思っているので、役者を続けるための体づくりはやってきました。

僕の同世代の友達などを見てみると、どうしても背中が丸くなってきたり、しっかり立ち続けることが難しくなってきています。そうなると役者としてはお爺さん役しかこなくなり、今回のような役をいただくことはできなくなります。だから仕事を続けていくために運動を続けているのが、結果的に健康でいられる秘訣になっているのではないかと思っています。

具体的にどんな運動をされていますか?

毎日歩くことを心がけています。歩けるような距離であれば必ず歩いて目的地に行きますし、「今日は歩けていないな」と思ったら特に用事がなくても近所を歩くようにしています。齢をとってもスーツが似合う体型でいるためには筋力を維持することも大事なので、スクワットと腕立て伏せを日課にしていて、週に1回は近所の区営プールに行って泳ぐようにしています。

若い頃は特に何もしなくても必要な筋肉はありましたが、この齢になると自分から運動をして筋肉をつけないと、どんどん減っていく一方になってしまうことを実感しています。齢をとるほど運動はしなければならないと思いますね。

現在67歳。体に異常はありませんか?

定期健診などを受けると、尿酸値が8.0を超えていてよくお医者様からも注意されます。近所の診療所の先生なので家内ともよく会って話をする仲で、「このままじゃ必ず痛風になりますから注意してください」と言われています。そのため僕の大好きな魚卵やカキなどが食卓に出なくなりました(笑)。ただ今でも痛風にならずに過ごせているのは、家内のこうした気遣いのおかげだと思って、とても感謝しています。

リラックスできるときは、どんな時ですか?

この齢になって銭湯っていいなって思うようになりました。若い頃はそれほど好きではありませんでしたが、やっぱり家のお風呂では味わえないものがたくさんあるので、とてもいいですね。熱いお風呂に我慢して入った後に、水風呂に入ってしばらくすると訪れる、溶けるような瞬間がとても気持ちいい。あんなに安価にお利用できて気持ちがよくなる施設はなかなかありませんよ。

最後に読者にメッセージを。

役者をやっていて一番難しいことは「力を抜く」ことです。ちゃんと演じよう、失敗しないようにしようと思うと、全身に力が入ってしまい、結局自然な演技になりません。日々の生活についても同じことで、ちゃんと生活しようと頑張りすぎると、結局周りから見ておかしな行動になってしまうと思います。

無理をせずに暮らしていくことは、簡単なようでなかなか難しい。だけど無理をせず暮らせれば、それはとても豊かな生活になるのではないかと思います。

2019年6月22日(土)有楽町スバル座ほか
全国ロードショー

6月14日(金)先行公開

配給:エレファントハウス/Kムーブ ©2019 Kムーブ

原作:新田次郎『ある町の高い煙突』(文春文庫・刊)

監督・脚本:松村克弥 

出演:井手麻渡 渡辺大 小島梨里杏 吉川晃司 仲代達矢 大和田伸也 小林綾子 渡辺裕之 六平直政 伊嵜充則 石井正則 螢雪次朗 斎藤洋介 遠山景織子 篠原篤 城之内正明 大和田健介 たくみ稜

作品情報:2019年/日本映画/カラー/130分/シネマスコープサイズ/5.1ch

公式サイトhttp://takaientotsu.com/

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