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俳優 古谷一行さんインタビュー(2019年10月25日掲載)

75歳となる現在でもテレビドラマ、映画、舞台など精力的に出演されている古谷一行さん。11月1日公開の映画『マチネの終わりに』にも出演されています。映画の見どころと、2011年に発症したがんとの闘いについて話を伺いました。

ヘアメイク:西島容子 スタイリスト:中村剛(ハレテル) 衣装協力/CROWDED CLOSET  撮影/安友康博

75歳となる現在でもテレビドラマ、映画、舞台など精力的に出演されている古谷一行さん。11月1日公開の映画『マチネの終わりに』にも出演されています。映画の見どころと、2011年に発症したがんとの闘いについて話を伺いました。

映画『マチネの終わりに』はどんな物語ですか。

毎日新聞で連載当時から大きな話題を呼んでいた小説を映画化した作品で、ちょっとしたボタンの掛け違いで、人の運命が変わっていくという大人の恋の物語です。単なる恋愛劇ではなく、社会的な問題やいろんな心情が重なり合う物語で、私の年代の人が見てもとても見応えのある映画です。ぜひご覧ください。

古谷さんが演じる祖父江はどんな人物なのでしょうか?

クラシックギターの世界では一流の演奏家でありながら、弟子である蒔野の才能を認めていて、一定の距離間をもって接しているという役どころです。一方で、スペインの街角のストリートミュージシャンと腰を振りながらタンバリンを演奏するような陽気な一面もあります。

コンサートでギターを弾いている場面では重厚で大物感が出るような映像になっていますし、蒔野と楽屋で話すシーンでは2人の関係性がうまく表現できた映像になっています。原作のファンの方も納得できる映画だと思います。

主人公の蒔野を演じる福山雅治さんとは初共演だったとか。

お会いするのも初めてでしたが、最初に会った時から全く気取らずフランクにいろんな話を聞いてくる、とてもいい青年でした(笑)。パリでの撮影の際に2度ほど食事をご一緒したときも、「こんなところまで話すんだ」というほど多くのことをお話しできました。そんな実際の関係を作品の中にもうまく出せたんじゃないかと思います。

物語の後半では病気のシーンもありました。

病人役の難しさはセリフや動きでなく、表情や雰囲気で演じなければならないこと。今回監督からも「病人なのに目が早く動きすぎだ」と指摘されました。映画の場合は、顔のアップになっているので、そうした細かな人物描写が大事ですね。セリフに一生懸命になり、指先が震える演技を忘れてしまいNGになることもありました。

年齢ならではの演技が必要になってきます、改めて演技は面白いなと思いましたね。

ご自身も2011年に肺がんを発症されました。発見した経緯を教えてください。

自覚症状などは全くなかったのですが、高校生時代からの友人が肺がんになりまして、自分もタバコを吸っていましたから「調べておいたほうがいいかな」と思い、何気なく検査を受けてみました。結果を聞きに行ったところ、先生の顔が検査の時と全く違っていて、肺がんであることを伝えられました。詳しく調べてみると、転移はしていませんでしたが、胸膜に癒着していて、抗がん剤治療も放射線治療もやりましょうとなりました。

がんを告知されたときはショックではなかったですか?

健康には自信がありましたから「まさか自分が」とすごく落ち込みました。ただ、先生の対処が素晴らしかった。このがんに対しては、こんな名医がいて、こうすれば必ず治って復帰できるという段取りを、しっかり示してくれました。これによってショックが半分くらいになりましたね。

闘病生活はいかがでしたか。

抗がん剤治療の副作用が本当に大変でした。常に吐き気をもよおすほど気持ちが悪く、しゃっくりが止まらないため活力もなくなり、一日中マッサージチェアに座ってぼーっとしているような状態でした。

さらにつらかったのは、抗がん剤治療は4クールが1セットになっていること。1クールが終わって元気になってきたところで、2クール目がやってくる。あのつらかった状態が再びくるんだと思うと、本当に気が滅入りました。

再発や転移は大丈夫でしたか。

最初に見つかってから3年ほどたって、内科の先生に「念のためMRI検査をしておきましょうか」といわれ検査したところ、脳への転移が見つかりました。ただこちらは1時間ほどの放射線治療を受けただけで、2年後には全て無くなりましたので、今では全く問題ありません。

がんの発症後、生活習慣は変わりましたか。

タバコはスパッとやめました。あんなにおいしくてやめられないと思っていましたが、抗がん剤の副作用のつらさを思うと、二度と吸いたいと思いませんね(笑)。

運動はがんになる前からジムに行きランニングをしていましたが、肺の手術後は、ランニングはきつくなりました。ですから、軽い付加で長時間続けられるウォーキングを週に2〜3回はするように心がけています。

今後、仕事としてやってみたいことはありますか。

年齢的にも75歳になりましたので、体のことを考えた仕事をしていきたいと思っています。来年の1月に舞台も決まっていて、年に1度のペースで舞台に出ていますが、自分の体力とも向き合いながら無理をせず頑張りたいです。

シニアの方に対してアドバイスがあればいただけますか。

私はたまたま検査を受けて、早期にがんを発見することができました。早期の発見がなければ、今この場にはいないと思います。

検査自体がストレスになるので、検査を受けない方がいいという人もいます。ただ、早期発見できればいろんな病気を防げます。60歳を超えるとどうしても病気が増えてきますから、自分の体をチェックするためにこまめに検査を受け、メンテナンスをしていくことが大事だと思います。

映画「マチネの終わりに」

劇場公開日:2019年11月1日(金)~

全国東宝系にてロードショー

キャスト:福山雅治 石田ゆり子
伊勢谷友介 桜井ユキ 木南晴夏 風吹ジュン 板谷由夏 古谷一行

監督:西谷弘  原作:平野啓一郎「マチネの終わりに」
脚本:井上由美子 音楽:菅野祐悟
クラシックギター監修:福田進一

©2019 フジテレビジョン アミューズ 東宝 コルク
matinee-movie.jp

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