デビューから40年以上経つ現在も、TVや舞台で精力的に活動を続けている川中さん。2月4日(火)から、明治座にて『川中美幸特別公演』が上演します。明治座での座長公演が10回目を迎える今作。舞台に対する意気込みと、ご自身の健康法についてお話を伺いました。
下町の銭湯「夢の湯」で繰り広げられる笑いあり涙ありの人情喜劇です。私が演じるのは、主人公の美幸。経営が傾きつつある銭湯を存続すべく、日々前向きに奮闘しています。銭湯を活用した代行サービスも兼業しており、持ち込まれる依頼に対して、仲間と協力して応えていく姿も注目ポイントです。
デビューしたての10代のころ、江戸川区の銭湯の2階に住んでいたんです。下から湯気が上がってくるものだから、部屋中ポカポカで!今で言う床暖房みたいなものですよね(笑)
今でこそ少なくなりましたけど、当時は家族で一緒に銭湯に行くのが当たり前の時代でした。お風呂上がりにはフルーツ牛乳を飲んだり、ご近所さんとバッタリ会えば世間話に花が咲いたり…。今回の作品を通じて、そんな懐かしい思い出も蘇りました。
フリートークを中心としたコンサートなので、お客さんと近い距離感で目いっぱい楽しみたいです。
最近では、「生の演歌って、こんなにすごいんですね!」と、それまで演歌に馴染みのなかった若い方もコンサートに足を運んでくれるようになりました。だから、今まで食わず嫌いでいた人にも、是非一度聞いてもらいたいですね。
とにかく、お客さんに楽しんでもらいたい一心です。明るいニュースや景気のいい話が少ない今だからこそ、笑いあり涙ありの素敵な作品を届けたい。観てくれた方みんなが「来てよかった!」と思える、そんな舞台にしたいですね。
また、明治座には他の会場と違った独特な空気感があるので、私自身もすごくワクワクしています。
でも、そうやってたくさんの物事に興味を持つことで、悩みや不安を忘れるきっかけになるんです。そのためには、とにかく外に出ること!お家でスマホばかり見ていても仕方ないですから。
最近は、本屋へ行くのが好きですね。私の周りでも病気になって入院をする人が増えてきたので、健康の本をよく読みます。お医者さんがお勧めしている健康法だったり、現代医学の発展だったり…タメになる情報は本当に多いです。
それ以外にもいろんな本を手に取りますけど、何気なく開いたページで誰かの言葉に励まされたりすると、元気がもらえますよね。「あぁ、私も頑張らなくっちゃ」って、勇気が湧いてきます。本屋には、そういった発見がたくさんあるから楽しいんですよね。
母の最期を看取ることは、ずっと前から決めていました。私が生まれたときに母が抱きしめてくれたように、母が天国へ行くときは私が抱きしめてあげるんだと…。それが、娘である私の務めだと思っていました。
でも、在宅介護で家にこもりっきりになると、どうしても精神は不安定になります。私も母に「なんで去年までできていたことができないの?」と、イラ立ちを覚えて泣いたこともありました。
だからこそ、いま介護で悩んでいる方に伝えたいのは、絶対に一人で抱え込まないこと。どんなに強い人でも“限界”はあります。だから、自分が悲劇に見舞われる前に誰かに相談することが大切です。私も、当時はたくさんの人に助けられました。親身になって話を聞いてくれる人は必ずいるはずだから、あきらめずに相談相手を見つけることですね。
この歳になると、毎日が挑戦です。まず朝起きて、体が問題なく動くかどうかのチェック(笑)。若いころは、母親や仕事の先輩に「歳をとると体にガタがくるよ」なんてよく言われましたけど、いざ自分がその年齢になってみると、言われたことの意味がよく分かります。
でもその反面、「まだまだ歳老いちゃいられない!」っていう気持ちもあるんです。2020年は、今回の公演をはじめ、夏には東京パラリンピックの応援大使も務めます。誰かを励ます立場にいるからこそ、まずは私が元気溢れる姿を見せないといけませんね。
健康でいるためには、歌を歌いましょう。歳をとると喜怒哀楽が顔に出にくくなるから、大きな声で歌って表情筋を動かしてあげると良いですね。それに、やっぱり歌うと元気になれるし、気持ちも奮い立ちますから。最近はカラオケルームがある病院も増えているみたいだし、健康には本当に効果的だと思います。
あとは、劇場に足を運ぶこと!歳をとると家にこもりがちになってしまうけど、いざ外へ出てみれば必ず楽しいことがあるはず。特に舞台には、人生のヒントがたくさん散りばめられています。だから、普段は出不精な方も、思い切って外に足を踏み出してみてください。
明治座
東京都中央区日本橋浜町2-31-1
第一部 フジヤマ「夢の湯」物語
作:柏田道夫 脚色・演出:池田政之
第二部 川中美幸オンステージ 人・うた・心
構成・演出:福家菊雄
出演:川中美幸
井上 順 松井 誠 麻丘めぐみ ほか