デビューから35年以上経つ現在も、変わらぬ若々しさを保ち続ける森口瑤子さん。8月公開予定の映画『おかあさんの被爆ピアノ』では、広島原爆被爆者の娘である“被爆二世”江口久美子を演じます。映画の見どころと、ご自身の健康法についてお話を伺いました。
原爆が投下された広島で奇跡的に焼け残ったピアノ。それらを再生し、自らトラックで全国をまわりながら平和コンサートを続ける男がいる。調律師・矢川光則————。彼が調律した「被爆ピアノ」は、これまでに全国1500箇所以上の地で平和の音色を奏でてきた。今やその活動は海を越え、’10年にアメリカ・ニューヨーク、’17年にはノルウェー・オスロ開催の「ノーベル平和賞コンサート」で演奏されるなど、命の大切さを提唱するピアノとして世界的にも知られている。本作は、そんな被爆ピアノと矢川氏をモデルに描いたオリジナル映画である。
終戦の年から数えると、今年でもう75年目…当時の記憶を鮮明に持つ人が年々少なくなる中で、戦争の痛ましさを十分に語り継ぐことが難しくなっています。そんな中、被爆ピアノという“形あるもの”が残り続けているのは、とても意義あること。当時を生きた人と同じように、被爆ピアノの音色にも「戦争を語り継ぐ力」があるわけですから。
戦争とはどのようなものなのか、この映画を観て、肌で感じることがきっとあるはずです。
私は、主人公・菜々子の母親であり、※被爆二世の久美子を演じています。現実問題として、被爆二世の方々は周囲の差別や健康上の不安など、多くの悩みと闘いながら生活されてきました。そのような背景から、作中での久美子は、被爆ピアノとの出逢いをきっかけに自身のルーツを探ろうとする菜々子を必死で止めようとします。
娘の幸せを第一に願い、原爆のことをあえて伝えない久美子の姿勢には、一母親として強く共感できる部分がありました。
※被爆者の実子のこと
いま、戦争についての文献や映像作品は身近にあるし、誰しもそれらに触れて「思いを馳せる」ことはできます。でも、平穏な生活が続いてしまったら、一度記憶に刻んだはずのことも、いつの間にか忘れてしまう…。同じ過ちを繰り返さないためには、やっぱり「忘れないこと」が大切だと思います。
そういう意味では、今のコロナ禍も未来の教訓にしていかなくちゃいけない。平穏なことは決して当たり前じゃないということを、改めて認識するときなのかもしれませんね。
いつ仕事が再開できるか分からない状況だったので、逆に「今しかできない生活」を心掛けました。普段なら一日中グダ~っと過ごすのも、起床時間から食事の時間、買い物に行く時間まで全てスケジューリング(笑)。娘はジョギングを日課にしているので、私もそれに合わせて一日一回は必ずウォーキングに出かけるようにしました。
そうかもしれません。あと、これは普段から欠かさないことですけど、改めて毎日湯船に浸かることは大切だなって。私はずっと昔から、免疫力は「代謝が良くて血液がサラサラであること」と思っているんです。だから、どんなに疲れて眠い日でも、必ずお風呂で温まる!最近ではより一層「免疫力が大事」と言われていますし、もしウイルスに感染しても、いかに重症化させないかを考えて行動することは大切ですよね。
振り返ると、デビューから今まで、本当に数多くの素敵なお仕事に恵まれてきました。芸歴もそれなりに積んできた立場なので、これからは自分の役を追求しつつも、さらに「恩返し」がしたいな、と。
今回の『おかあさんの被爆ピアノ』も、その思いを持って撮影に臨みました。「原爆や戦争って、実はあまり知らなかったけど…」という方に、少しでも興味を持っていただけたら本望です。
今病気で悩んでいらっしゃる方達に私が出演した作品を通して、元気や笑顔をお届けできたらとても幸せです。本作にもたくさんの思いが詰まっていますので、ぜひ劇場に足を運んでみてください。お待ちしております。
8月8日(土)より
新宿K’s cinemaほか
全国順次公開
監督・脚本:五藤利弘
出演:野史郎 武藤十夢(AKB48)森口瑤子
宮川一朗太 南壽あさ子 城之内正明
鎌滝えり ポセイドン・石川 内藤忠司
配給:新日本映画社
公式HP:hibakupiano.com
© 2020映画「被爆ピアノ」製作委員会