スタイリスト/中村 抽里 ヘアメイク/田中 舞子 VANITÉS(ヴァニテ) 撮影/梁瀬玉実
■ワンピース
WaCCa(ワッカ)/ドレスアンレーヴ @wacca_official @dressunreve
■アクセサリー
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~阿川佐和子さんプロフィール~
1953年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒業。『情報デスクtoday』『筑紫哲也NEWS23』などでキャスターを務める。 以後、執筆を中心にインタビュー、テレビ等幅広く活動。99年『ああ言えばこう食う』(檀ふみとの共著)で講談社エッセイ賞、2000年『ウメ子』で坪田譲治文学賞、08年『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。テレビ朝日『ビートたけしのTVタックル』にレギュラー出演中。
映画『エゴイスト』~あらすじ~
14歳で母を失い、田舎町でゲイである自分を隠して鬱屈(ルビ:うっくつ)とした思春期を過ごした浩輔(鈴木亮平)。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、自由な日々を送っている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである母(阿川佐和子)を支えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太(宮沢氷魚)。惹かれ合った2人は、時に龍太の母も交えながら満ち足りた時間を重ねていく。亡き母への想いを抱えた浩輔にとって、母に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし彼らの前に突然、あまりにも残酷な運命が押し寄せる――。
映画『エゴイスト』は男性同士のラブストーリーでありつつ、家族愛の物語でもあります。出演依頼がきたときの、率直な気持ちを教えてください。
センシティブに捉えるべき映画だと思いました。でもその中で、母親役っていうのは年齢的にも無理をせず、自分にはちょうど良かった。宮沢氷魚さんみたいな、きれいな子どもを生んだ覚えはないけど(笑)。
高山真さんの原作を約10年温めて、やっと映画化の道筋ができたという監督の熱い想いを聞き、これほど光栄なことはない、「やってみたい」と思いお受けしました。
阿川さんが演じる、龍太の母「妙子」はどんな人物ですか?
シングルマザーで息子を必死に愛しているけど、生活面で多くの負担をかけ、結局息子にお世話になっている。私だったら、その状況に負い目を感じて暗くなっちゃいそうだけど、監督から何度も「妙子は強い女性です」と言われて。だからめそめそせず、「龍太のおかげで生きているよ」と元気な姿を見せて、感謝の気持ちを表すようにしていました。
© 2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会
劇中でも、最後まで笑顔を絶やさなかった妙子(阿川さん)が印象的でした。
妙子は、本当はつらいけど「周りを不幸にしてはいけない」って思う信念が強いばかりに、ずっと笑顔で居続ける強い母親なんです。
妙子に限らず日本人って、悲しいことがあると笑うっていう文化がありませんか? 外国の方からも、「日本人のスマイルは理解しにくい」と言われる時代もあったし。その根本には「自分の不幸を他人に伝染させてはいけない」という思いがある。一種の村社会での生き方というか、礼儀というか。そういう文化があるなって思います。もちろん本当に悲しいときもあるし、人に向かって悲しみを訴えるときもあるだろうけど。
例えばニュースを見ていても、台風とか自然災害にあった農家さんにインタビューをしに行くと、「いや、もうキャベツ畑全滅」とか、笑っていたりしますよね。水害で、半地下の酒屋さんが水浸しになっていても、「すべるよ! そこ」「全部ダメ」「わっはは」とか本当に笑っている人が多いんですよ。そういった経験も思い出して、妙子を演じていました。
© 2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会
映画のタイトルにもなっている『エゴイスト』。阿川さんは人間のエゴについてどう捉えていますか。
人間は誰でもエゴだと思うんです。自分を基準にして判断、発言、行動をする。良かれと思ってやったことが、愛であったり反発心であったり。いろんなエゴがあって、人とのコミュニケーションを重ねていきますよね。でも自分自身がそれをエゴだと思っていなくても、その行動は結果的に「相手に作用する」もの。相手のためになると思って発した言葉が、相手を悲しませるかもしれない。逆に、何気なく言ったひと言が相手にとっては救いになることもある。映画を通して、自分と相手の間に存在するエゴについて、思いを馳せてもらえればと思います。
映画の他にもテレビや執筆活動で活躍されている阿川さんが、健康のために気をつけていることとは?
コロナ禍になってからは手洗い、うがいが習慣になりましたね。あとは本質的に健康に一番大切なことは「快食・快眠・快便」だと思っています。中でも睡眠時間はきちんと取っていますね。原稿の締め切りをいっぱい抱えているくせに(笑)。すぐ寝ちゃいます。夜遅くまでやっても翌日使いものにならないので、スパっと寝て、朝早く起きてやった方が良いと思う。
おすすめの「元気がでるご飯」はありますか。
「シイタケスープ」です。料理研究家の辰巳芳子さんの著書『あなたのために―いのちを支えるスープ(文化出版局、2002/9/1)』に掲載されています。辰巳さんに番組でお会いする機会があったので、何か辰巳さんのお料理を作ってみたいなと思ったのがきっかけです。材料は干しシイタケ、梅干し、昆布を入れてコトコト煮るだけ。調味料は何も入れない。これを飲むと、本当に元気になります。ぜひ作ってみてください。私の説明は全部無視して、辰巳さんの本を参考にしてくださいね(笑)。
69歳を迎えられた阿川さんですが、今後どのように歳を重ねていきたいですか。
はい、ロック(69)な女でございます。まぁ普通に考えれば、あと10年経ったら80歳間近。20年経ったら100歳目前だから、人生100年時代とは言え、全員がそこまで生きられるわけじゃないですし。となると今みたいに「あ、あそこ行きたい」とか、「ゴルフしたい」「映画見たい」っていう風に体が動くのは、あと10年ちょっとかしらって思うと気持ちが暗くなってしまうので、先のことはあまり考えないようにしています。毎日が「あぁ今日も良く仕事をした」「ビールが美味しいね。おやすみなさい」と言えたり、おいしいものを食べられる幸せを噛みしめながら、過ごしていきたいですね。
もうすでに体のいろんなところが老朽化していますし、現に20年前の写真なんか見ると、「うわ~きれいだったわ。わたし」とか思ったりして。ひどい(笑)。
今も十分おきれいです!
いや、これ今日メイクとか服で「作ってもらっているから」よ(笑)。カメラもデジタルになったおかげで何とかごまかせるけど、色んなところに自然とガタがくる。でも私は、あまりアンチエイジングには興味がない。やっぱり老いて「死ぬ」という経験は、誰も経験談を語ってくれないし、誰もが逃れられなくて皆が経験する。永遠の命なんてないからこそ、人間の世界では死や老いることをもとに文化や芸術が生まれているわけですよね。だからそれを避けていこう(アンチエイジング)、またそういった科学の進歩に対して、積極的ではないの。むしろ与えられた悲しみ、情けないことと付き合いながら、どう楽しく生きていくかを考える方が好きです。
2023年2月10日(金)全国公開
【出演】
鈴木亮平 宮沢氷魚
中村優子 和田庵 ドリアン・ロロブリジーダ
柄本明
阿川佐和子
【監督・脚本】松永大司 【原作】高山真「エゴイスト」(小学館刊)
【脚本】狗飼恭子 【音楽】世武裕子
【配給】東京テアトル
【制作プロダクション】ROBOT
【公式サイト】www.egoist-movie.com
【Twitter/Instagram】@egoist_movie
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© 2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会