さいじょう ひでき/1955年4月13日生まれ。広島県広島市出身。1972年、シングル「恋する季節」で歌手デビュー。キャッチフレーズは「ワイルドな17歳」。郷ひろみ、野口五郎と共に「新御三家」と呼ばれる。
日本初のスタジアムコンサート、「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」の国民的大ヒットなど次々と話題を独占。2003年、2011年と二度の脳梗塞で倒れるも、現在も歌手として活躍中。
昨年11月、NHKの歌番組から厳選シーンを集めたDVD『HIDEKI NHK Collection』をリリースした。
二度の病気を経験されても、ステージに立ち続ける姿が印象的です。
今回は、これまでの歌手人生を振り返りながら、「健康のありがたみが分かった」という今の過ごし方について伺いました。
「紅白歌合戦」をはじめとするNHKの歌番組から厳選したシーンを集めた、『HIDEKI NHK Collection』を昨年11月にリリースした西城秀樹さん。
今度のDVDはどういったものになっているんでしょうか。
NHKさんの歌番組に出させてもらった中から、123シーンを集めてまとめています。「紅白」だけじゃなくて、「レッツゴーヤング」とか「歌謡コンサート」とか、番組の空気がそのまま詰まっているから、当時見てくれていた人にとっては懐かしく感じてもらえると思いますよ。
そのうち117曲は今回が初商品化なんです。曲を出してからずいぶん経ってますけど、今またこういう形で世に出せるっていうのは、ありがたい話ですよね。
今までの集大成とも言える作品ですね。
NHKさんから企画の打診がありました。キャンディーズとか、引退された方の映像をまとめたものはあるけど、現役の人でそういうものを出すのは、ほぼ初めてだそうです。
改めて今までの映像を見直してみると、いい曲が多いなと思いました。こんなにたくさん歌ってきたんですねぇ…。本当に素敵な曲に恵まれましたね。
想い出に残っている曲は?
やっぱり「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」かな。TBS「ザ・ベストテン」で満点をとった曲ですからね。あの時は嬉しかったなぁ。こんなにみんなに親しまれてる曲なんだって実感しました。
17歳のデビューから、怒涛の日々を過ごされたかと思います。
当時を振り返って?忙しすぎてほとんど覚えてないですね(笑)。寝る暇もほとんどなかった。3時間くらいじゃないですかね。夜中に取材とかばっかりでしたから。テレビ局→テレビ局→テレビ局のハシゴですよ。例えば雑誌「明星」の取材があるって言ったって、(山口)百恵さんとかと一緒になれる時間が夜しかないんです。だから毎日夜遅くまで仕事していました。
シングルも3か月に1枚くらいのペースで出してたし、もうローテーション(笑)。レコードが一番売れた時代でしたから。その時代の歌手はみんなそんなものかもね。
西城さんはまさに“歴史”を作ってこられましたね。
ロサンゼルスに友達がいて、色々アメリカのものを参考にしました。ただ立って歌ってるだけじゃなくて振付をいれてみたり、スタジアムでコンサートしたり…。アメリカでは、野外のロックフェスティバルを当時から結構やっていたんです。それを見て、日本でもやってみたいな、こういうのやってみたら面白いんじゃないかって。ぼく発信で、周りの人たちもどんどん盛り上がってくれて、段々と形になっていきました。
時代とともに走り続けてきた西城さん、二度の脳梗塞を経験されています。
一度目の後、経験したことを全部書きたいと思って、本を出しました。本を書くっていうのは想像以上に大変だったし時間もかかったけど、同じような経験をされた方を勇気づけられたのなら嬉しいです。
健康への意識も変わりましたよ。健康はね、やっぱり食べ物。何を食べたらいいか、一番自分の身になるものは何かって、考えるようになりました。全部「バランス」なんですよね。何を食べちゃいけないっていうのはないけど、焼肉食ってまた焼肉みたいな、そういう生活してたらやっぱりダメなんですよ。
「健康のありがたみ」というものがやっと分かりました。家族も、励ましてくれたり、食べ物に気を遣ってくれました。みんながいたから乗り越えられたんだと思います。
再発が分かった時は?
さすがに落ち込みました。1回目をやってから、タバコもやめて、食生活や生活スタイルもがらっと変えて、再発しないようにすごく気をつけていたんです。なのに、またマイナスからスタートしなきゃいけないのかって。1回目の時とは全然気持ちが違いました。1回目は知識がないでしょう。脳梗塞というものの知識すらない。でも、それからは気をつけて気をつけてやってきたのに、何でなんだ!って…。がっかりしたし、悔しかった。
それでも頑張ろうと思えたのは、ファンのみなさんに元気な姿を見せたかったから。早く治してステージに立ちたいと思ったからです。
最近、コンサートやテレビ番組を見てくれた人たちが「自分も元気をもらった」「ヒデキの負けない姿がカッコいい」っていうコメントをたくさんくれるんですよ。本当にありがたいですね。ファンはなくてはならない存在です。病気をする前も今も、それは変わりません。
リハビリはいかがですか?
一番は運動です。マシンを使ったり筋トレしたり。整体や鍼も含め、一日3時間、週3~5回ですね。それから、毎日8時間以上は寝るようにしています。栄養も運動も休養も、健康には大切ですからね。こまめな水分補給も心がけています。1日に水1.5リットルは飲むようにしてるかな。
あとは音読。ヘレンケラーとか、松下幸之助とか、昔の文章が書かれたテキストがあって。ヘレンケラーなんか特にいいですよ。ぐっとくる詩がたくさんあります。
頑張っていらっしゃいますね。
でも調子に波があって。特に寒い日はダメ。そういう風に、良い時もあれば悪い時もある、でも遠くのほうにある光を必死にたぐり寄せようとしている感じですね。
それが歌になっているのが、3年前に還暦記念で出した「心響 -KODOU-」というアルバムに入っている「蜃気楼」という曲です。詩のイメージは、「闇の中の一筋の希望」。ぼくのための曲に巡り合ったなと思いますね。自分の想いと重なるところがたくさんあって、とても深い意味のある曲です。
ぼくにとって、歌やステージは人生そのもの。ずっとそういう場所に立ち続けていたい。そのために今もリハビリを頑張っています。
元気の輪をご覧の方にメッセージをお願いします。
ぼくと同じ病気を経験した人、今まさに闘ってる人、大切な人が病気になった人、健康な人…。色々な人がいるとは思うけど、何があっても負けないで、あきらめないでほしい。そう自分に言い聞かせながら、病気に負けないで、とにかく頑張ってほしいです。
苦しいことがあっても、あきらめずに進んでいく。ぼくもそうやって、ここまできましたから。
DVD BOX 絶賛発売中
価格:16,500円+税
販売元:ソニー・ミュージックダイレクト
購入方法(通信販売のみ)
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ファンをとても大切にされる西城さん。インタビュー時にファンへの感謝のお気持ちを、何度も口にされていたのがとても印象に残っています。
ご冥福を深くお祈り申し上げます。
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