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歌舞伎役者 中村勘九郎さんインタビュー(2021年10月25日掲載)

舞台・映画・ドラマなど幅広いステージで活躍し、歌舞伎界を牽引する中村勘九郎さん。弟の中村七之助さんと共に『赤坂大歌舞伎』を11月11日(木)より開催します。作品の見どころと、舞台への意気込みを伺いました。


中村勘九郎さんプロフィール

1981年10月31日、東京都生まれ。十八代目中村勘三郎の長男。87年に『門出二人桃太郎』兄の桃太郎役で二代目中村勘太郎を名乗り初舞台。2012年、父・十八代目中村勘三郎の前名である中村勘九郎を六代目として襲名。13年に読売演劇大賞最優秀男優賞、15年に第1回森光子の奨励賞を受賞。最近は歌舞伎以外にも、映画『清須会議』、『銀魂』、NHK大河ドラマ『新選組!』、19年には『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』で主演を務めるなど、活動の場を広げている。

 舞台・映画・ドラマなど幅広いステージで活躍し、歌舞伎界を牽引する中村勘九郎さん。弟の中村七之助さんと共に『赤坂大歌舞伎』を11月11日(木)より開催します。作品の見どころと、舞台への意気込みを伺いました。

『廓噺山名屋浦里(さとのうわさやまなやうらざと)』~あらすじ~

 江戸時代、とある地方藩の江戸留守居役(今でいうところの外交官)であった酒井宗十郎は堅物で通る人物。それ故に仲間内から何かと疎まれて、嫌がらせを受ける日々。いい加減な話し合いばかりの寄合で、次回は真面目に話し合う会にしようと提案する宗十郎だが、田舎者の考えとあしらわれ、次回の寄合は「江戸の妻」つまり吉原の馴染みの女を自慢しあうと趣向が決まっていると言われる。それが自分に恥をかかせるためだと気付いた宗十郎は、山名屋という置屋へ向かい、吉原一と呼び声の高い遊女「浦里」を呼び出す———。

十八代目中村勘三郎さんの「芸能の街・赤坂で歌舞伎を!」という一言から08年にスタートした赤坂大歌舞伎。親しみやすい演目で幅広い世代から人気を博す名物シリーズが4年半ぶりに上演します。

 今回上演する演目は三作で、一つ目の『廓噺山名屋浦里』は笑福亭鶴瓶師匠の落語が原作です。当時、日本橋で行われていた鶴瓶師匠の公演を聴いたとき、噺が始まって2分ほどで歌舞伎座の大道具が鮮明に浮かんだのです。美しく気丈な浦里のキャラクターも弟(二代目中村七之助)にピッタリで、これは絶対に兄弟で歌舞伎にしたいと思い、終演後の楽屋へご挨拶に行きました。そこで鶴瓶師匠に直談判したら、快く「ええよ!」と言ってくださって。それから一年も経たないうちに実現しました。


歌舞伎としての初演は5年前ですが、当時の思い出などはありますか?

 千穐楽のカーテンコールで、お客様の大喝采に包まれながら、鶴瓶師匠とタモリさんと一緒に舞台上で挨拶をしたのは忘れられません。なぜタモリさんがいらっしゃったかというと、そもそも鶴瓶師匠に『廓噺山名屋浦里』の話をしたのはタモリさんだったのです。テレビ番組のロケで吉原を歩いていたときに浦里にまつわる話を聞いて、それを後日鶴瓶師匠に「こんな話があるから落語にしてみたら」と提案したのだと。それから落語になり、歌舞伎になり、という経緯です。
 今回もお二人は観に来てくださるとのことなので、非常に楽しみにしています。

「古典芸能の魅力を今に生きるエンターテインメントにする」というのが本シリーズのテーマの一つですが、その上で意識されていることは?

 歌舞伎には優れた名作がたくさんあります。それを綺羅星の如くいた先人たちが試行錯誤し、努力し、切磋琢磨して今の演出や型があるわけですから、私たちはそれを追求しなければいけません。
 過去の映像、書物から学びを得て自分のなかに落とし込むのはもちろんですが、やはり一番大切なのは演技の中で“自分自身が生きる”こと。「生きた演技をする」という心は、古典の作品、舞踊、新作の歌舞伎まで、どれにおいても一緒です。


今回、二番目の演目にはご子息の勘太郎さんも出演されます。父親としての想いはありますか。

 二つ目の演目『越後獅子』は、僕が今の勘太郎と同じ歳のころ、9歳のときに初めて踊ったものです。歌舞伎座の広い舞台での踊りはとても楽しかった記憶があります。
 彼が大人になった時にどれくらい覚えているかは分かりませんが、幼くして劇場の空気を味わうことは、その後の役者人生の大きな糧になるはずです。父(十八代目中村勘三郎)が僕に経験の場を与えてくれたように、今度は僕が子どもたちに「与える」番。できるだけ多くの経験を積んで成長してほしいと思っています。

若い世代から往年の歌舞伎ファンまで毎回多くの人が来場します。赤坂ならではの魅力とは何でしょうか。

 赤坂ACTシアターの強みは、歌舞伎座での演出をそのまま変えずにできることです。特に父は「お客様のリアクションに合わせて演出を分かりやすく変えることは絶対にしてはいけない」と言っていましたから、僕たちもその意志を受け継いで作品に臨んでいます。
 それでも、赤坂大歌舞伎を観られたお客様からは「とても分かりやすくて親しみやすかった」と、嬉しいお言葉をたくさんいただきますね。実際は歌舞伎座と同じことをやっているのですが、お客様の心や五感を開放させる何かがACTシアターにはあるのかな、と思います。

コロナ禍では、七之助さんと協力しながら「オンライン歌舞伎」など精力的に取り組まれていた勘九郎さん。役者としての活動の原動力を教えてください。

 やはり父と祖父の影響は大きいです。幼い頃から神社、仏閣にお参りに行っては「父や祖父のような立派な役者になれますように」と祈っていたほど尊敬する方々なので。自分にとっての憧れのヒーローと同じ舞台に立つ、同じ役を演じることに対する喜びが一番の原動力だと思います。今でも、父や祖父ならどうするか、どういう風に自分を見てくれているだろうかと、日々想像しています。
 コロナ禍ということもあり、今後のエンタメ業界においては探り探りの活動が続くと思います。ですが、これで一生を終えるつもりはありません。満員の劇場で僕らが観た景色を子どもたちに必ず伝えたいですし、昔から歌舞伎を観てくださっているお客様にも、以前の熱狂を再び味わっていただきたいですから。



TBS開局70周年記念 赤坂大歌舞伎


2021年11月11日(木)~ 11月26日(金)TBS赤坂ACTシアター

一、『廓噺山名屋浦里』
出演:中村勘九郎 中村七之助 中村虎之介 中村鶴松 片岡亀蔵 中村扇雀 中村勘太郎 中村長三郎
原作:くまざわあかね 脚本:小佐田定雄 演出:今井豊茂

二、『越後獅子』長唄囃子連中
出演:中村勘太郎

三、『宵赤坂俄廓景色』長唄囃子連中
出演:中村勘九郎 中村七之助 中村虎之介 中村長三郎 中村鶴松 片岡亀蔵 中村扇雀


【お問い合わせ】
サンライズプロモーション東京 
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