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俳優 光石研さんインタビュー(2023年5月25日掲載)

俳優人生45年、「名バイプレイヤー」としてその名を馳せる光石研さん。12年ぶりの映画単独主演作となる『逃げきれた夢』では、還暦を直前に控えた男性の新たな一歩を、等身大で演じます。今やTVドラマ、映画で欠かせない重要な存在として活躍する光石さんの、下積み時代から持ち続けている「仕事観」や、多忙っぷりを支える健康法など、盛りだくさんでお届けします。


スタイリング/上野健太郎
ヘアメイク/大島千穂
撮影/梁瀬玉実
ジャケット¥41,800 ニット¥24,200 パンツ¥26,400/全てFUJITO(Directors TEL:092-733-3997)
シューズ/スタイリスト私物

~光石研さんプロフィール

1961年9月26日生まれ、福岡県出身。高校在学中に『博多っ子純情』(78)のオーディションを受け、主役に抜擢される。以後、冷徹なヤクザから良き父親役まで様々な役柄を演じ、映画やドラマ界では欠かせない存在として活躍。2016年には第37回ヨコハマ映画祭助演男優賞(映画『お盆の弟』(15)・『恋人たち』(15))、2019年には第15回コンフィデンスアワード・ドラマ賞 主演男優賞(「デザイナー 渋井直人の休日」(TX))を受賞。同年には出身地の北九州市より市民文化賞を受賞。近年の主な映画出演作は『バイプレーヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』(21)、『おそ松さん』、『異動辞令は音楽隊!』(22)など。公開待機作に『波紋』(6月26日公開予定)がある。

俳優人生45年、「名バイプレイヤー」としてその名を馳せる光石研さん。12年ぶりの映画単独主演作となる『逃げきれた夢』では、還暦を直前に控えた男性の新たな一歩を、等身大で演じます。今やTVドラマ、映画で欠かせない重要な存在として活躍する光石さんの、下積み時代から持ち続けている「仕事観」や、多忙っぷりを支える健康法など、盛りだくさんでお届けします。

映画「逃げきれた夢」~あらすじ~

 北九州で定時制高校の教頭を務める末永周平(光石研)。ある日、元教え子の平賀南(吉本実憂)が働く定食屋で、周平はお会計を「忘れて」しまう。記憶が薄れていく症状に見舞われて、これまでのように生きられなくなってしまったようだ。待てよ、「これまで」って、そんなに素晴らしい日々だったか? 妻の彰子(坂井真紀)との仲は冷え切り、一人娘の由真(工藤遥)は、父親よりスマホと過ごす方が楽しそうだ。旧友の石田啓司(松重豊)との時間も、ちっとも大切にしていない。
 新たな「これから」を踏み出すため、「これまで」の人間関係を見つめ直そうとする周平だが―。

「還暦」も近づき、人生のターニングポイントを迎えた男性が、新たな一歩を踏み出そうとする今作品。光石さんが思う、作品の見どころを教えてください。

 見る人の視点によって色々な捉え方ができて、共感してもらえるポイントがたくさんある作品だと思います。主人公同様に還暦間近の人だと、必ず皆さん当てはまるような病気への危機感や仕事、家庭のこと。奥様だと自分の旦那と、若い人はお父さんと照らし合わせてみるとか、面白いんじゃないかと思います。

©2022「逃げきれた夢」フィルムパートナーズ

物語の舞台は光石さんの地元でもある北九州の黒崎です。脚本には実際の光石さんの体験が盛り込まれているとお伺いしました。

 かなり入っています。監督がずいぶん僕に寄せて書いてくれて、撮影した場所も僕の田舎ですし、方言も。どういう訳か僕のお父さん役に、実際の僕の父親が出ることになって。この歳になってまさか自分の父親と芝居するとは思ってなかったので、とにかく恥ずかしくて本当にやりづらかったです(笑)。

実際のお父様との共演だからこそ、リアリティを感じる部分はありましたか。

 確かに「いつもの自分じゃない」感覚はありました。もしかしたら監督は、実際の父親を抜擢することで僕のいつもの芝居以上、もしくは芝居以下が出たら面白いと思ってキャスティングされたんじゃないかと思います。最後の方のシーンでは、けっこう辛辣なことを父親に投げかけるのですが、ほぼ自分の父親に言っているような気にもなりました。多分父親は俺のセリフなんか聞いてないと思うんですけど。他のことが気になってね(笑)。

人とのつながりやコミュニケーションについて考えさせられる作品だと感じました。光石さんが普段の人間関係で気をつけていることはありますか。

 「人を縦に見ない、横に見る」ことは意識しています。自分が上の立場でも、若い人に対して高圧的には絶対出ないです。それ以前に僕は愉快なことが好きなので、いつも周りの人に冗談を言ってコミュニケーションを取っています。子どもの頃からふざけるのが好きで、よく大人に怒られていたのですが、デビューしたときにこの業界の人達だけが「面白いね」って言ってくれたんです。それ以来、時と場合によりますが「ここではふざけていいんだ」と受け取って、冗談ばかり言っています(笑)。ふざけてばかりだから、照れくさくて真面目なことが言えないのが課題です。

そのお人柄と、ニッコリ笑顔にたくさんの仕事が集まるのですね。

 いやいや、おかげさまで還暦を過ぎてもお仕事をいただいて、割と忙しくさせてもらっているなんて、10年前の僕からは想像できないことです。もちろん、仕事がなかなかもらえなくて苦しい思いをした当時も、仕事をずっと続けたいとは思っていましたが、実際に今そうなっている自分がいて。コロナみたいに、誰もが予測していなかったことがあるのは役者という業種でも同じだと思います。たまたま出会った作品が良くて、その先に繋がることは大いにありますから。何が当たるか分かりません、世の中は。でも目の前にあるお仕事をちゃんとやっていないと、その先に待っている素敵なことが手からするりとこぼれ落ちるような気がするので、そういった緊張感と絶対に手を抜かない意識は持っています。

春夏秋冬、どの季節のドラマにも引っ張りだこの光石さんが、健康で気をつけていることとは?

 少し前まで唯一の運動としてジョギングをしていたのですが、1ヶ月前くらいにガクッと捻挫をしてしまって。そこからウォーキングに切り替えています。週2回ぐらいかな。
 運動しようと思ったのは2005年くらいで(当時44歳)、ちょうどその頃に煙草を辞めたのがきっかけです。マラソンも好きなんですが、コロナの関係で大会自体も減っちゃいましたね。脚が回復すれば今後ハーフマラソンとか出たいなって思います。

(元気読本を見ながら)表紙の症状名の中で、気になるものはありますか。

 腰痛、肥満、膝! 年齢とともにやっぱり悩みは増えます。どっか痛いと思ったら、今度はこっちが痛くなった、みたいなことはよくあります。
 仲間内で集まると、最初に「目」の話をします。「目、どのくらい見える?」みたいな。台本が読みづらくなるのは死活問題です。物忘れもそう。セリフを覚えられなくなる危機感はありますね。若い頃は、老眼や物忘れとか体の悩みを話している先輩達に対して、何を話しているんだって思っていたけど、今まさに、僕らはその真っ只中です。とにかく健康を一番に、仕事をいつまでも続けられるように、一日一日を大切に生きていきたいです。

6月9日(金)新宿武蔵野館、シアター・イメージフォーラムほか全国ロードショー

【監督・脚本】
二ノ宮隆太郎

【出演】
光石研
吉本実憂 工藤遥 杏花 岡本麗 光石禎弘
坂井真紀 松重豊 ほか

【製作】木下グループ
【配給】キノフィルムズ
【公式HP】nigekiretayume.jp
【Instagram】@nigekiretayume

©2022「逃げきれた夢」フィルムパートナーズ