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俳優 赤井英和さんインタビュー(2021年5月25日掲載)

“浪速のロッキー”の異名を掲げボクシング界を賑わせた後、俳優に転身して映画やドラマで活躍を続ける赤井英和さん。今回のインタビューでは、主演を務める『ねばぎば 新世界』の見どころと、ご自身の健康についてお話を伺いました。


撮影/梁瀬玉実

赤井英和さんプロフィール

1959年、大阪府出身。高校在学時にボクシングを始め、近畿大学進学後、プロに転向。12連続KOという日本記録を樹立した。引退後は芸能界へ転身し、1989年に映画『どついたるねん』で主演デビュー。その後、1995年『119』でアカデミー賞優秀主演男優賞、2001年に『十五才 学校IV』で同優秀助演男優賞を受賞。現在は俳優業のほか、日本ボクシング連盟の男子普及委員も務めている。

 “浪速のロッキー”の異名を掲げボクシング界を賑わせた後、俳優に転身して映画やドラマで活躍を続ける赤井英和さん。今回のインタビューでは、主演を務める『ねばぎば 新世界』の見どころと、ご自身の健康についてお話を伺いました。

7月10日より公開される映画『ねばぎば 新世界』。赤井さん演じる主人公・勝吉と相棒のコオロギが、
大阪の街を舞台に社会の悪を成敗する痛快アクションドラマです。

 この映画は、僕の原点ともいえる大阪の西成・新世界の街と、そこに住まう人々の温かさを色濃く映し出した作品です。本作の監督でもあり、コオロギ役としても出演した上西雄大さんとは何度かご一緒したことがありましたが、相棒という近い関係性で共演したのは今回が初めて。上西さんも大阪出身で、お互いの西成・新世界に対する熱い愛情を共有しながら演技に臨めたと思います。

(c)10ANTS

赤井さんにとって所縁の地も数多く登場します。

 主人公の勝吉が働いているのは、僕が学生時代から通い詰め、お手伝いもさせて頂いた『串カツだるま』です。別のシーンでは、僕の実家も使っていますね。

人の弱みに付け込む悪徳宗教団体に立ち向かっていく勝吉とコオロギの姿には、勇気をもらいました。

 今も昔も、世の中にはいろいろな悪がありますよね。インチキ宗教団体もそうですし、ほかにもオレオレ詐欺であったり。そういった悪に対して、街を愛し、街に愛された男が立ち向かう。その正義感を、この映画で伝えたかったんです。
 現に僕は、西成という街に非常に愛されてきました。ボクサー時代、西成のお好み焼き屋さん、瀬戸物屋さん、八百屋さん、酒屋さん、魚屋さんと、商店街の皆さんが「赤井英和応援会」というものを作ってくださって。試合の時には二階席で太鼓を叩いたり、鐘を鳴らして毎回応援してくれました。そういう意味では、赤井英和も勝吉も「街を代表して自分が闘う」という共通の意志を持っているように感じます。

本作を通じて、赤井さんが伝えたいメッセージとは。

 作品のタイトルにもあるとおり、「ネバーギブアップ! 諦めたらアカン」ということです。コロナ禍で、全国的に暗くつらいニュースばかり流れる毎日ですが、今できることを精一杯やって、明るい明日を見ようやないか、と。常にチャレンジする気持ちがあれば、いつか明かりは見えてくるはず。そういったメッセージを、この映画から受け取っていただけたら有難いです。

苦しい状況に立たされたときこそ、“ねばぎば”の精神だと。

 そうです。僕は25歳のときボクシングを引退したのですが、最後の試合では硬膜下血腫、脳挫傷、深昏睡と、かなり重いダメージを受けました。親は「8対2の割合で諦めてください」と医師から告げられたそうです。それでも何とか命を取りとめて、その4年後には『どついたるねん』という映画で役者デビューができました。人生は山あり谷ありですが、とにかく「諦めたらアカン!」と自分自身に言い聞かせることが大事だと思います。

ボクサーから俳優に転身されて今年で33年目。映画やドラマ、バラエティへの出演と
多忙を極める赤井さんですが、日々どのように健康管理を?

 「足湯」ですね。30年間、毎日続けています。日本における整体学の父として有名な野口晴哉先生のお弟子さんで、長年お世話になった方から教えていただきました。「身体の冷えというものは、全ての不調の根源である」と。ガンにしても、身体の冷えからくると言われていますから。心臓に一番遠い足の先からじっくり全身を温めることで、毎日体調良く過ごせていますね。

一回あたり、どのくらいのお時間で?

 毎朝1時間以上入っています。自宅に「足湯器」というものを持っていまして、水を入れてコンセントにつなぐと38℃から42℃まで温度が設定できるんです。僕はいつも42℃くらいでキープして、新聞を読んだり、TVを見ながら浸かっています。仕事で地方に一ヶ月ほど行くときも、足湯器を持って行きますね。
 もちろん、ご家庭の湯船でも自分でお湯を足しながらできますから、皆さんもぜひ試してみてください。ポイントは、靴下以外の衣服は全部しっかり着ておくこと。足だけ温まっても、上半身が冷えたらいけませんから。僕は30年前に足湯を始めてから、今まで一度も風邪を引いたことがありません……ヘックショイ!!

え!?(笑)

 今のは冗談です(笑)。とにかく、足湯は健康に良いですよ。冬はもちろん、夏もやるべきだと思います。部屋でクーラーを効かせていると、冷気が下に行って足元からじわじわと全身を冷やしますから。これからの季節こそ、足湯です。

赤井さんの長男の英五郎さんは先日、ボクサーとしてプロデビューを表明しました。
ご自身と同じくボクシングの道を辿ることを、どのように感じていますか?

 強烈に嬉しいですね。最大限応援してあげたいな、という思いです。彼は高校、大学とアメリカンフットボールをアメリカでプレーし、体重100キロ超えの選手とバンバン身体をぶつけ合っていたと聞いています。そこで培われた強さなのか、自分と同じくらいの体つきの相手と戦うボクシングは全然怖くない、と。気持ちの強い男です。
 とはいえ、我が息子の試合をいざ観てみると、「ドキがムネムネ」しますね(笑)。僕も現役時代、両親に同じような心配をかけていたのかと思うと、少し申し訳ない気持ちにもなりますが。

英五郎さんは20歳でボクサーに転向したそうですが、赤井さんはそのことを予想してたのでしょうか?

 全く予想していなかったです。恐らく彼は幼い頃から、父親の僕がボクサーだったこともあって、周りからおだてるような言葉をかけられていたと思うんです。でも子どもって、そういった声を頑なに否定するものじゃないですか。彼は「ボクシングだけは絶対にしない」と、幼稚園のときからずっと言っていました。
 なので僕も、「別にせんでもええわ」と思っていたのですが、彼が20歳になったころ、ロスにいた僕の現役時代のマネージャーの方から国際電話がかかってきて。当時、同じロスに留学していた息子が自ら、マネージャーを訪ねたそうなんです。マネージャーからは電話口で、「英五郎くんがボクシングをやりたいと言っているんだけど、お父さんは承知しているんか」と聞かれて。驚きましたが、やっぱり嬉しかったですね。「本人がやると言うならば、ぜひよろしくお願いします」と返事をしました。
 今思えば、ロサンゼルスの地で迎えた20歳——。「何かやるなら今しかない」と、彼自身が強く決心したのでしょうね。

俳優として、父親として。赤井さんが理想とする「歳の重ね方」を教えてください。

 僕は、今年の8月で62歳になります。62歳には、62歳の青春がある。それは70代、80代になっても同じこと。役者という仕事も、年齢に合った役がある。そういう意味では引退がなく、いつまでも続けられるありがたい職業です。これからも自分の年齢に真正面から向き合って、青春を感じ続けたいと思います。



映画『ねばぎば 新世界』

7月10日(土)より
新宿K’s cinema 全国順次公開



【監督・脚本・プロデューサー】上西雄大
【キャスト】赤井英和 上西雄大 田中要次
      菅田俊 有森也実 小沢仁志 西岡德馬

【制作】10ANTS
【配給】10ANTS 渋谷プロダクション

【公式サイト】http://nebagiba-shinsekai.com/
【公式ツイッター】https://twitter.com/nebagibamovie

2020/JAPAN/Stereo/DCP/118min