撮影/梁瀬玉実
~岸谷五朗さんプロフィール~
1964年生まれ、東京都出身。83年、大学在住中に劇団SETに入団し舞台を中心に活動を開始する。93年、鄭義信脚本の映画『月はどっちに出ている』で高い評価を受け数々の賞を受賞し、94年には寺脇康文とともに演劇ユニット「地球ゴージャス」を結成。すべての作品で演出を手掛けるほか、ほとんどの作品で脚本も担当するなど多彩な活躍を見せる。主な出演作にドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(21/NTV)、映画『夜明けの街で』(2011)『まくをおろすな!』(2023)など。
舞台『歌うシャイロック』~あらすじ~
1964年生まれ、東京都出身。83年、大学在住中に劇団SETに入団し舞台を中心に活動を開始する。93年、鄭義信脚本の映画『月はどっちに出ている』で高い評価を受け数々の賞を受賞し、94年には寺脇康文とともに演劇ユニット「地球ゴージャス」を結成。すべての作品で演出を手掛けるほか、ほとんどの作品で脚本も担当するなど多彩な活躍を見せる。主な出演作にドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(21/NTV)、映画『夜明けの街で』(2011)『まくをおろすな!』(2023)など。
シェイクスピアの名作『ヴェニスの商人』を翻案した舞台『歌うシャイロック』。岸谷さんは、主人公のシャイロックを演じます。
普段は「地球ゴージャス」で脚本を書き芝居を作っているので、こういった外部の作品に参加させてもらうのは人生2度目の経験になります。しかも演出は鄭義信(チョンウィシン)さん。もう、楽しみで仕方がないのは当然のことなのですが、チラシを撮影するときにまず衣裳を見て驚きましたね。なんと「腹巻と雪駄(せった)」が置いてあって。僕が思う「シェイクスピア」とはイメージが違っていたので、「これが鄭(チョン)さんの世界か~!」と思いました。
全編「関西弁」の、パワフルでエネルギッシュな舞台とお聞きしました。
そう! いやぁ、関西弁って本当に難しいよね。以前、NHKの朝ドラ『てるてる家族』でかなり関西弁の練習をしましたけど、今回もセリフを全て録音してもらって、練習に励んでいます。音符のように覚えることがコツかな。でも関西弁で演じることによって、シェイクスピアをすごく身近に感じることができる。同じ町で、シェイクスピアが一升を瓶持って飲んでるんじゃないかって錯覚するくらい。だから決して遠い国の話ではなく、シェイクスピアを多方面からより深く、「コメディー」として楽しめる作品ですし、特にまだシェイクスピアを見たことのないお客さんにぜひおすすめしたいですね。
中村ゆりさん、真琴つばささんとの共演はいかがですか。
中村さんはまだ二言三言しか喋っていないんだけど、印象はとにかく可愛いらしくて、細くて、その笑顔で人を優しくしているなぁって感じます。
真琴さんとは、ご本人がおっしゃっていたんですけど、僕と顔が似ているという共通点があります(笑)。僕がもしケガをしたら、シャイロックとポーシャの両役をやってもらおうかなぁ(笑)。
岸谷さん含め、出演者の方の関西弁にぜひ注目したいです。ところで、好きな関西弁はありますか?
う~ん…やっぱり「なんでやねん!」かな(笑)。ほかにも、東京では「馬鹿じゃねえの、お前」って言われるとすごくキツく感じるけど、「アホちゃうか」って関西弁で言われるとちょっとホッとするじゃない。関西弁にはそんな魅力があるよね
関西弁とてもお上手です! 「地球ゴージャス」では、脚本から演技まで一貫して取り組んでいる岸谷さんが思う、「演劇の面白み」とは?
「生」ということに尽きますね。役者だけが演じていても、それは演劇じゃない。役者が作れることってだいたい70%のこと。あとの30%は観に来てくれたお客さんが一緒に作ってくれると思っています。だから、演劇を観に来る、生の面白さっていうのはテレビや映画にはないものなんだよね。一つの空間で同じ呼吸をして、役者の熱量や汗、観ているお客さんの汗や感動の涙。すべてが合わさってこそ演劇であり、それを生で体感できるのが演劇の楽しいところだと思います。
演劇には「体力」もつきものだと思いますが、何か日頃気をつけていることはありますか?
365日、半身浴をしています。起きて仕事に行く前、朝4時出発だろうが5時だろうがお構いなし。もう30年以上続けているので、10分過ぎたらぶわぁ~って汗が出てきます。健康法と言うよりも、カッコイイ言い方をすると「半身浴で役に入っていく」というか。寝起きは岸谷五朗なんだけど、半身浴中にどんどん役に近づいて、集中して、たっぷり汗をかく。そのあとストレッチをすれば、芝居前の準備は整っている。寺脇康文さんにも教えて、彼も毎日やっていますよ。あとは時間があるときはランニングもしていますね。
健康的な生活ですね。お食事面はどうですか?
実は僕、すごく太りやすい体質なんですよ。だから体が重くて舞台でケガをしないために、自然と食事は健康的になりましたね。野菜、鶏ささみ、納豆とかを食べています。あ、でもラーメンも食べるよ?!(笑)ラーメンは大好きで、二週間に一回は食べるかな。でもラーメンだとお酒が飲めないので、ラーメンを食べるときは相当そのラーメン屋の評判が良いか、ラーメンを食べたくて死にそうか、どっちかですね(笑)。
現在58歳の岸谷さんですが、今後どのように齢を重ねたいですか?
役者の仕事って一見華やかそうに見えるけど、孤独な職業なんです。舞台でお客さんに発表するまでに、一人でセリフを覚えて、踊って練習して。稽古場でやっと仲間に会えても、「自分の芝居がダメならすべてを乱してしまう」と考えると、孤独感もつきまといます。そんな職業をする上で今後を考えたときに、やっぱり人とのコミュニケーションを大事にしたいと思いますね。コロナ禍で難しさもあるけど、家族や仲間4~5人とガヤガヤ食事がしたいなって思う。仕事や趣味の仲間、いろんな人と会うことが健康に繋がれば良いなと思います。
ありがとうございました。最後に岸谷さんの趣味を教えてください。
ずっと趣味がなかったんだけど、唯一生まれたのはサーフィン。始めて20年弱くらい経っています。もう僕くらいの歳になると、体が痛いし、激しいスポーツはできないから皆ゴルフをやるんだよね。僕は「止まってる玉なんて打つものか」と思っているけど(笑)
サーフィンは、「無」になれるところが好きです。普段仕事で脚本を書いて、演出してと考える量が多いし、長いからね。動いている波と自然と戯れて、無になる時間を大切にしています。冬の極寒でも行くし、気づいたら車にボードを積んで、千葉の海まで向かっています(笑)。
【東京公演】2023年3月16日(木)~3月26日(日)サンシャイン劇場
【作・演出】
鄭義信
【出演】
岸谷五朗 中村ゆり 岡田義徳 和田正人 渡部豪太
小川菜摘 駒木根隆介 福井晶一 マギー 真琴つばさ
【制作協力】(株)レプロエンタテインメント
【企画・製作】松竹株式会社
【公式サイト】http://shylock-stage.com/